はじめに
—想定外の世界をOODA(ウーダ)ループで乗り切る!

プラットフォーム戦略、オープンイノベーション、
リーンスタートアップ、デザイン思考、リモートワーク、
目標管理(MBO)、ネットワーク組織など、
欧米の経営理論を表面的に理解し導入……、
そして繰り返される部門異動や組織の見直し……、
社員のモチベーションは度重なる朝令暮改のせいで低下する一方……。

経営コンサルタントの私は、
こうした現場をこれまで何百と見てきました。

なぜ日本企業は同じような失敗を繰り返すのでしょうか?

私はシリコンバレーの企業(シスコ)で働いた経験や
日米を代表する大企業(トヨタ自動車、パナソニック、
NTT、日立製作所、GEなど)の現場で
強み・弱みを直接議論した経験から、

世界的に成功している先進的な企業が持っていて、
ほとんどの日本企業が持っていない
爐△訐鑪理論瓩梁減澆傍いつきました。

海外、特にシリコンバレーの企業などでは当たり前すぎて、
誰も説明してくれないのですが、この戦略理論があるからこそ、
欧米の経営理論が望ましい効果を生むことがわかったのです。

ほとんどの日本企業はこの戦略理論を知らないで、
欧米の経営理論や戦略を表面的に取り入れるだけだから、
改革は常に失敗に終わるのです。

その「戦略理論」とは「OODAループ」です。


OODAループのターゲットは相手の「世界観」

敵を感知してから決断し勝つまでに40秒—
ジョン・ボイド大佐が敵の戦闘機を見つけてから
撃墜するまでの時間です。

これがOODAループを駆使した結果です。

OODAループとは、
アメリカ空軍のジョン・ボイド大佐が開発した
あらゆる分野に適用できる戦略理論です。

朝鮮戦争(1950〜1953年)における空中戦で、
ボイド大佐が率いる部隊が味方一機につき
敵機十機を撃墜したとされる、
戦果をもたらした理由の研究が原点となっています。

それまでのアメリカ軍の戦略は、
カール・フォン・クラウゼヴィッツに代表される
ヨーロッパの戦略論に影響を受けていました。

トップダウンの指揮統制を前提に、
敵軍に大打撃を与えるための戦略です。

しかし、これは自軍の部隊の疲弊、そして一歩間違えれば、
敵のみならず味方の血の海を作ることにもなりかねない
リスクの高いものだったのです。

アメリカ軍の全軍はOODAループを
全面的に採用することにより、
方針を敵に大打撃を与えることを目的とした「消耗戦」から、
敵の指導者(意思決定者)の「戦闘意志」を
喪失させることをターゲットにした「機動戦」に転換しました。

たとえば、1991年の湾岸戦争では
OODAループを採用し、クウェート側に集中していた
イラク軍の裏をかきイラク領内を攻撃するという
「左フック戦略」により、わずか4日で勝利しました。

また、OODAループは、
NATO(北大西洋条約機構)加盟国をはじめとする
西側各国だけでなく、中国やロシアをも含む
世界中の軍隊で採用され、その戦略を大きく転換させました。

そして、今ではシリコンバレーをはじめとする
欧米のビジネス界でも基本戦略として採用され、
アメリカの多くのビジネススクールで教えられています。

OODAループは、
「あらゆる分野に適用できる戦略の一般理論(thegrand theory of strategy)」
といわれています。

OODAループは、次の5つの思考プロセスからなっています。

 みる(見る、観る、視る、診る):Observe
 わかる(分かる、判る、解る):Orient
 きめる(決める、極める):Decide
 うごく(動く):Act
 みなおす(見直す)/ みこす(見越す):Loop

組織に適用されるOODAループは、
組織が常に変わり続ける状況に対応するための戦略理論です。

自分の世界観を持ち、その世界観をそのときの状況や
相手の状態に合わせて更新しながら、考え、行動します。

軍事でいえば「敵の戦闘意志」、
ビジネスでいえば「相手(顧客やライバル企業)の思い」を探りながら、
相手の心をどのような状態にするかを決めて動きます。

たとえば、接客サービス業であれば、
「顧客をいかに感動させるか」を最優先に考えます。

顧客を感動させるためにどうしたらいいか
—顧客が感動する一例としては、喜びや心地良さなどの
プラスの感情を自分の親しい人たち
(恋人、家族、学校の友人、職場の同僚など)と
共有できるかどうかがあります。

では、目の前にいる顧客はどのような人びとと
どのような感情を共有したいのか
—これが顧客1人1人の世界観です。

この世界観をできるだけ早く見つけ出して、
顧客の願いを実現するのが最高のサービスです。

もう少し具体的にお話ししましょう。
接客サービス業のホスピタリティを紹介するときに、
次のようなエピソードがケーススタディとして
使われることがよくあります。

タイトルをつけるとすれば
「今は亡き子どものお子様ランチを提供すべきかどうか」
といったところでしょうか。

あるレストランに一組の夫婦がやって来ました。

彼らは自分たちの料理のほかに
「お子様ランチ」を1人前注文します。

しかし、子どもはいません。

このレストランでは、「お子様ランチ」は
子ども限定のメニューと決まっています。

接客したスタッフはそのことを夫婦に伝えつつ、
注文した理由を尋ねました。

すると、彼らの子どもは数年前に病気で亡くなったのだが、
亡くなる前に子どもとこのお店に来ることを約束していて、
今日は子どもの誕生日だった

—こうした場合、スタッフは店のルールを
理由にオーダーを断るべきでしょうか? 
それともルールに逆らって
「お子様ランチ」を提供するべきでしょうか?

このケーススタディでは
「接客とは何か」ということが問われているため、
場所の設定がテーマパークやレストランなどに変えられて、
さまざまな研修の現場で使われているようです。

もちろん、接客サービス業のホスピタリティからすれば、
この場合はお店のルールよりも夫婦の望みを優先して、
「お子様ランチ」を提供することが正解になります。

このスタッフの行動をOODAループに即して説明すれば、
「今は亡き子どもとの思い出を夫婦で共有したい」
という世界観に合わせて、
「幸せ」の象徴である「お子様ランチ」を提供することによって、
彼らを感動させたということになります。

「すぐ決まる組織」のつくり方 OODAマネジメント
『「すぐ決まる組織」のつくり方 OODAマネジメント』
(入江仁之・著)

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