まえがき 
物事を正しく考えるための処方箋

本書の効用

たとえば
「なぜ人を殺してはいけないのか」
と子どもに聞かれて、
あなたは明快な理屈で答えることができるだろうか。

「法律で決まっているから」というのでは、
実はまったく不足している。

戦時中、敵兵を殺すことは違法ではなかった。

法律など時代や国によってことごとく異なるので、
鋭い子どもはそれだけでは納得しないだろう。

「人を殺していいような社会になると、
自分も殺されるから怖いでしょう」というのもダメだ。

自分が殺されないように
しっかりと武装していればいいのか、となる。

何がしかの答えを探しているうちはまだましだ。

説明に困ってしまい、それを悟られまいと
「そんなことは常識でしょ!」と
声を荒らげる以外の手立てを持たない不格好な大人もいる。

無教養で恥ずかしいことである。

筆者なら、この無邪気な子どもの問いに、
わかりやすく、明確に答えることができる。

その答えがどんなものかは後に述べるとして、
論理をうまく操れない人、知識が不足している人、
直観力に優れない人は、人生でいろいろな失敗をしてしまう。

他人とすぐに対立したり、
上司の理不尽な指示にイライラしたり、
行きたくもない会社の飲み会を断れず、
ストレスをため込んでしまう。

物事の根本的な考え方や哲学を理解していないからだ。

そういう状態にあることは、
人生の楽しみをたいへん損なっている。

せっかく日本という比較的豊かな国に生まれてきたのに、
思想が不足しているために、
他人とうまくやっていけないのだ。

他にも、次のような例だとどうだろうか。

「自分で選んだ道だろう? 自己責任だ」
「文句があるなら政治家になって変えてみろ」
「騙されたと思ってやってみてよ。体験すればきっとわかる」
「オレの意見はオレの自由だろ? 価値観を押しつけるな!」
「批判ばかりせず、対案を出してくれ」
「ウチの会社に不満があるなら、辞めればいい!」

ほんの一例だが、こういった言葉は、割と頻繁に使われる。

どうもおかしい、何か言い返したいが、
うまくいかずモヤモヤしたことはないだろうか。

本書は、たとえばこうした怪しげなコトバに惑わされて悩む読者、
ビジネスでうまく論理が扱えない読者、
中高生や大学生で−−あるいは大人も含めて−−、
物事を正しく考える術を身につけていない読者への贈り物である。

哲学や論理学の知識及び読解力などを高め、
社会で通用する一流の思考法を披露する。

最初の構想時点から20年以上熟成されてつくられた、
最良の処方箋である。

数々の知恵を惜しみなく記述するにとどまらず、
とても具体的な例を数多く示すことで、
「物事を考える」「他人と議論する」「他人を説得する」
「自由自在に論理を操る」「世の中の仕組みを理解する」
「思想を使って楽しむ」ことができるようになるよう、
渾身の力で執筆した。

本書を読むと、どうなるか。

まず、いくばくかの哲学的知識や
論理的思考力が身につくだろう。

それらはとてもすばらしい体験である。

だが、さらにすばらしいことは、
思想を自由に操り、思想で「遊べる」ようになることだ。

人は普通、人生においていろいろな悩みや不満を抱える。

時には重々しく生きづらい精神に陥る。

しかし、明快でわかりやすく、
とても厳密かつ明るい思想を身につけることで、
それらから解放されて、ふわりと軽い気持ちになり、
重圧から解き放たれるのだ。

読者が幸せになれるのである。


「悪の論理」とは

本書のタイトルや本文において
「悪の論理(または本文中で「名言」)」
という言葉を使っている。

これは端的に言うと、
「理屈では間違っているのに、一見正しいとされる論理」
のことだ。

世の中には悪の論理が数多く流通していて、
多くの人は無自覚に使っている。

そしてまた、多くの人が盲目的に騙だまされている。

世間でのやり取りの大部分は、
新聞記事やテレビニュースと同程度にいい加減で、
表面的で嘘くさい悪の論理のやり取りでスルーされていて、
本質的な正しい論理とはかけ離れてしまっている。

このことに自覚的になり、
他人から押しつけられる悪の論理を喝破することで、
おかしな意見から身を守ることができる。

それどころか、
逆に自分が悪の論理を使いこなして
他人を操ることができれば、
圧倒的に有利な立場に立つこともできる。

本書では、そうした悪の論理をたくさん例示した。

よくある
「ビジネスのための論理学の本」
といったような軽薄な書籍とは異なり、
本当に生活上よく耳にする例を使っているのがポイントだ。

論理学は教養のうちのごく一部でしかなく、
形式的に知るだけでは何の役にも立たない。

実践例を数多く知ることではじめて身につくものだ。

悪の論理は根深い。

世の中の大多数は「人を殺すことは悪いことだ」と、
当然のように信じてしまっているのではなかろうか。

だが、実はそれこそが悪の論理なのだ。

この言葉の正当性を
自覚なしに信じてしまっている状況とは、
無知蒙昧な状況、
教養が不足している状況にほかならない。

本書を読み終える頃には、
読者はその段階から2歩も3歩も
「頭が良く」なっているはずだ。

本当の教養と知識を背景に、
実践的な論理を使いこなして
「思想で遊ぶ」ために、

さあ、「悪の論理」の世界へ−−。
場を支配する「悪の論理」技法
『場を支配する「悪の論理」技法』
(とつげき東北・著)

 ※書籍の詳細を見たい方は、
 上の画像をクリック!
 
1位目指してがんばってます!
ポチっと応援お願いいたします!