調理におけるスパイスの4つの働き

スパイスの基本作用

スパイスと医学が古くから密接だったというお話をしました。

しかし、考えようによっては、
人工的に薬物をつくるノウハウなどない時代ですから、
自然界にある植物を病気の治癒、
体調管理に利用するのは当然の発想だったのかもしれません。

現代流にいえば、フィトケミカルといったところでしょう。

古代から薬理作用、抗菌作用、
抗カビ作用が認められていたスパイスですが、
時代が中世、近世と進むと、次第に食文化が発展し、
スパイスに求められる役割も幅を広げていきます。

調理の際にスパイスに求められる効果は、
「香りづけ作用」「辛味作用」
「臭い消し作用」「着色作用」
にまとめられます。

これらは、現在、調理の目的に合わせた
「スパイスの基本作用」と呼ばれています。

香りづけ作用は、
ヨーロッパでは特に尊重する傾向にあります。

フランスの煮込み料理に用いられるブーケガルニは
その代表で、さわやかな香りで料理を引き立ててくれます。

また、台所でカレーをつくっていると、
「今日はカレーだな」と嗅覚が刺激され、
食欲をかき立てられますね。

空気中に漂う香りは味覚よりも早く脳に達するため、
ある意味、人への影響力が大きいのです。

あとで解説しますが、食用になるハーブは、
すべてスパイスの仲間です。

スパイスの多くは香りに特徴があるのです。


独特の辛味は、痛覚で感じる

辛味作用は、それぞれのスパイスが持つ刺激的なピリ辛風味です。

甘味、酸味、塩味、苦味、旨味は
味の「五味」と呼ばれ、舌で感知しますが、
辛味や苦味は喉や口腔内の皮膚感覚でとらえるという違いがあります。

さらにいうと、辛味は
「熱さ」「痛さ」を感じるのと同じ痛覚で感じ取ります。

英語のHOTという単語は、
熱さと辛さの両方の意味がありますね。

コショウ(ペパー)にはピペリン、
トウガラシ(レッドペパー)にはカプサイシン、
ショウガ(ジンジャー)にはショウガオールとジンゲロン、
ニンニク(ガーリック)にはアリシン、
ワサビにはアリルイソチオシアネートと、

ひと口に辛味といっても、
その成分・性質はさまざまで個性があります。

これらをブレンドして奥深い味を出すことこそ、
スパイスを楽しむ醍醐味なのです。
 
1種類の辛さだけを突出して効かせる使い方は、
正しいとはいえません。

臭い消し作用があるスパイスの代表がセージです。

古いドイツ語で豚肉(雌豚の塩漬け肉)をソーといい、
腸詰めにするときひき肉の生臭さを消すためにセージを使いました。

こうしてできた料理がソーセージです。

セージはそのほかの肉料理にもよく使われます。

セージと並んで矯臭・脱臭作用が強いものに
クローブ、タイム、オレガノなどがあります。

どれも肉料理、魚料理に登場する、馴染みのあるスパイスですね。

当時は今ほど衛生環境も良くなく、
流通する肉や魚の下処理も不十分で生臭かったのでしょう。

それぞれのスパイスの香りを楽しむと同時に、
素材の生臭さを消す役割として重宝していたと想像されます。


食欲を増進する、鮮やかな色の演出
 
着色作用の代表としては、
ターメリック(ウコン)の黄色、
サフランの黄金色、
パプリカの赤色が挙げられます。

いずれも香り、辛味は少ないスパイスですが、
鮮やかな色は食欲を増進させてくれます。

カレーの黄色、パエリアの黄金色、
ハンガリーの赤いスープは、料理そのものを象徴しています。

また、緑のパセリは料理の脇に添えたり、
みじん切りにしてソテーの飾りにしますね。

これを彩(あやどり)効果と呼びます。

スパイスのブレンドは、
香りづけ、辛味、臭い消し、着色の
それぞれの作用を生かすために行なう作業です。

ブレンドされたスパイスは料理をおいしくする
いろいろな効果を総合的に持つことになります。
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