ーーーScarcity and Trade-offーーー
希少性とトレードオフ
われわれの世界は「選択」で成り立っている


「希少性」は経済学を考える上での基本
「希少性」のために社会が考えるべき3つの問いがあります。
この序章ではその問いが経済学の基本キーワードと
どうかかわるのかを見ていきます。


POINT
1.What……どんな商品、サービスが作られるべきか?
 →機会費用(Opportunity Cost)
2.How……どのように商品、サービスは作られるべきか?
 →生産性(Productivity)、特化(相互依存:Interdependence)
3.Who……誰がその商品、サービスを消費すべきか?
 →経済システム、価格による市場経済の循環モデル、貨幣


まず、すべての社会が直面する
根本的な問題としての「希少性」を考えてみましょう。

希少性とは、商品(財・サービス)に対する人間の欲求が、
実際に世の中にある資源を使って生産できる
商品の数量を上回っていること

—つまり、人間の欲求は無限ですが、
資源は有限なので、「すべての」人の欲求を
「完全に」満たすことは物理的に不可能であることを意味します。

経済学では、商品を生み出すのに必要な3つの資源
「労働」「土地」「資本」を「生産要素」といいます。

これに、生産活動を組織する起業家の能力を加えると4つになります。

生産要素には希少性がある(数量に限界がある)があるために、
すべての人の欲求を完全に満足させるだけの商品を
生産することはできません。

だからこそ、資源を大切に
かつ有効に使わなければいけないのです。

希少性は、そもそも生産要素が有限である
(=絶対量が決まっている)ことから発生します。

希少性があるために、常にわれわれは、
ある商品から得られる満足と
別の商品から得られる満足のどちらかを
選ばなければならないのです。

選択です。

つまり、すべてを手に入れることはできないというわけです。


人生は選択の連続

われわれが選択するのは、
満足を得るための商品だけではありません。

人生は、いつでも選択をしなくてはいけないことばかりです。

進学、恋愛、就職、結婚など
選択を迫られる場面が多くあります。

選択の例を挙げてみましょう。

たとえば、目の前に自由に使える1万円があったとします。

その1万円を何に使うのか—豪華な食事に使うのか、
楽しい趣味に使う(消費する)のか、
あるいは貯蓄するのか—を自由に決めることができます。

たいていの人は、豪華な食事や楽しい趣味に使いたくなりますよね。

なぜならば、「おいしい」「楽しい」という幸福感が得られるからです
(経済学では、この幸福感のことを「効用」といいます)。

ただ、これでは貯蓄をする人が少なくなってしまい、
金融機関は困ります。

そこで、人々がお金を食事や趣味に使わないで
貯蓄したくなるような「インセンティブ(経済的誘因)」として
金利をつけるのです。

金利が高ければ高いほど、
お金を貯蓄しようと思う人は増えるでしょう。


NOTE
インセンティブ(経済的誘因)とは、ある活動に対して
報酬やペナルティ(罰金など)を設定することによって、
人々がその活動をするように誘導したり、
あるいは逆に、それを回避するように誘導することです。

たとえば、「お金が欲しいから仕事をする」とか、
「罰金を払いたくないから駐車違反をしない」
といったことです。

インセンティブは、人間の特定の行動に対する
意欲(あるいは抑制)を生み出すのです。


貯蓄することで、食事や趣味に使うお金が減りますが、
その代わりに金利がつくのでお金を増やすことができます。

このように限られた条件の下で、複数の選択肢の中から
何か1つを選ばなければならない状況のことを、
経済学では「トレードオフ状態にある(Trade-off)」といいます。

この場合は、
「豪華な食事や趣味といった自分の楽しみのためにお金を使うのか」、
あるいは「貯蓄してお金を増やすのか」という
2者の間にトレードオフの関係が成立します。

トレードオフが生じたときには、
2つの選択肢それぞれの長所と短所を考慮し、
比較・検討した上で選択をすることが求められます。

しかし、皆さんもご存じのように、
選択することは、簡単なことではありません。

何しろ、人間は後悔をする生き物です。

ある選択をすると、今度は選ばなかった
もう一方の選択肢に魅力を感じることが多々あります。

「豪華な食事」をとりたかった、
「趣味」を楽しみたかった、
将来のために「貯蓄」すればよかった……といった具合に、
どれか1つを選択したあとで、あきらめた(犠牲にした)
別の選択肢がまぶしく見えてしまう人も少なくないでしょう。

なるべくそうならないように、
いくつかある選択肢をあらかじめきちんと
比較・検討しておくことが大切です。

「あるものを手に入れるためにあきらめた別の次善のもの」を、
経済学では「機会費用(Opportunity Cost)」といいます。

この機会費用を上回る魅力のあるものを選択すべきなのです。

選択すると必ず機会費用が発生します。

経済学で「選択」というときには、
機会費用とインセンティブの2つを考えます。

選ばれるべき商品・サービスは人々にとって
インセンティブのあるものというわけです。

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小川 正人・著

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