夫はシェアハウスの同居人

前の話のように、
イライラや怒りが、暴力や別離など
目に見える形で表れることもあれば、

次の話のように、
密かに潜伏し続けることもあります。

ある「幸せな家庭」を演じている夫婦の話です。

本当はもっと自由に生きたいのに、
本音の会話をすることもなく、
相手に失望し、妥協しながらいっしょに暮らしている
というのです。

女性は
「本当は離婚しちゃったほうがさっぱりするんでしょうけれど、
 マンションを共有名義で買ってしまったから面倒で」
と言います。

不動産を購入した場合、
その名義の登記については
「単独名義」と「共有名義」の2種類があります。

単独名義とは購入した1人の名義で登記すること。

一方の共有名義とは、1つの不動産を購入する際に
共同で出資して購入した場合に、
その出資した割合に応じた持ち分で登記すること。

共有名義で登記すると夫婦それぞれの収入に対して
「住宅ローン控除」の適用を受けるなどのメリットがありますが、

一方で離婚した際の財産分与の問題があります。

一方が売却を希望しても
一方が売却を拒否して住み続けることを主張した場合、
事実上売ることはできません。

単独名義に変更する場合は、
金融機関への連絡と承諾が必要で、
2人で分けて組んでいた住宅ローンを
1人で負担することになるかもしれません。

「結婚して20年になりますが、17年間セックスレスです。
 共通の友人からの情報で、夫に20歳以上も歳の離れた
 若い恋人がいるのは知っています。
 その女が、この部屋に上がりこんでいるのも知っています。

 実は私も会社の部下と恋愛関係にあります。
 だからお互い様ともいえます。
 いっしょに食事をすることもないし、
 1カ月以上会話をしないことも珍しくありません。

 私たちはシェアハウスの同居人のようなもので、
 お互いのプライベートには一切関与していません


別の夫婦には2人の子どもがいますが、
「下の子が20歳になったら別れる」と決めています。

「私たちの会話はすべて子どもが仲立ちしています。
『○○ってお父さんに言っておいて』
『○○ってお母さんに言っておいて』という感じです」



死んだあとに去っていった妻

「はじめに」で
「生まれ変わっても現在の配偶者と結婚したいか」
という調査についてお話ししました。

女性は20代の頃は
「もう一度いまの夫と」という人が多かったのに対し、
50代、60代になると32・4パーセント、
33・3パーセントと極端に下ります。

これまで家庭を顧みない夫との生活に不満を持ちながらも、
「給料を稼いでくれるから」と我慢してきた妻が、
定年をきっかけに「もう面倒はみないから」と宣言して、
離婚してしまうこともあります。

ある女性には、
大手企業の部長職にある夫との間に2人の子がいます。

「男は仕事、女は家庭」という考え方の夫に従い、
よき妻であろうと努力してきました。

しかし、「それでいいのか」と思うようになったそうです。

家事はすべて自分。
夜遅くまで夫の帰りを待って食事の支度。

ある日、夫に「俺のシャツはどこだ」と言われて
「知らないわ」と答えたら、
「ふざけるな。知らないってどういうことだ」
と怒鳴られました。

それをきっかけに彼女は爆発しました。

「あなたが外で仕事をしていられるのは、
 私が子どもの面倒をみたり、
 食事を作ったり、買い物をしたりしているからよ」

離婚を決意すると成人していた子どもたちも応援してくれ、
都内の小さなマンションで1人暮らしを始めました。

昼間は水彩画を習い、
夜は観劇やコンサートを楽しんでいます。

子どもが独立し、妻が去ってしまうと、
男性が1人残されることになります。

ある男性は「毎日の家事がわずらわしい」と、
3食ともコンビニで賄っています。

昼はコンビニ弁当。
夕方はおでんとビールを買って晩酌。

そのときに朝食分のおにぎりも買い、
翌朝おでんの残りヅユといっしょに食べるのだそうです。

お金がないというわけではないのですが、
「うまいものを食べたいとか、どこかに出かけたいという気力がない」
という言葉を聞いて寂しくなりました。

ある男性は70歳で妻を亡くしました。
長く連れ添った妻の死を悲しんでいると、
お葬式の際、妻の妹たちが突然
「遺骨をもっていく」と言い出しました。

「姉の遺骨はあなたには渡せない。
 姉はあなたといっしょのお墓に入るのはイヤだと言っていた」

そう言って妻の直筆の遺言状を見せられました。

そこには確かに
「死んだら実家のお墓に入りたい」
と書いてありました。

義妹たちは奪うように遺骨を持ち去ってしまいました。

後日何度も頼み込んで、
ようやく少しだけ骨を分けてもらったそうですが、
その際も義妹たちから「姉がかわいそう」と号泣されたそうです。

この人は奥さんを亡くした悲しみと同時に
複雑な感情を抱えています。

「妻とはそれなりに仲良くやってきたつもりでした。
 妻を幸せにしてやったなんて思っていました。
 でも、そうではなかったみたいですね。
 こんな伝えられ方はつらいです」

さまざまな男女の話を聞きながら、
私は2つのことを考えました。

まず、2人の人間である以上、
2人の価値観は違うということ。

まして男女なのだから、なおさらでしょう。

もう1つは、
「だからわかり合えないのだ」
と諦めてしまう人もいますが、

やはりお互い向かいあって、
話し合うことが大切だということです。

向かい合い、話し合いを避けた結果として別れがあります。

男と女の怒らない技術
『男と女の怒らない技術』
(嶋津良智・著)

※書籍の詳細を見たい方は、
 上の画像をクリック!
 
1位目指してがんばってます!
ポチっと応援お願いいたします!