自分を知る Self Awareness

仝饗慮海伴分の文化背景を理解しよう
ウォルトの過酷な幼少期と、アメリカの天地創造論

私たちは、自分のアイデンティティや原点を
理解できているだろうか。

誰にとっても、
自分自身を理解するうえで一番大切なのは、
自分が本当に欲しいものおよび、
自分に影響を与えた文化背景を知ることである。

このうえで非常に有益なのが、
自分の幼少期の原体験を理解するということだ。

ウォルト・ディズニーほど
世界中のエンターテイメント業界に
大きな影響を与えた人も他にいない。

今日も世界中のディズニーランドで
合計何十万人という人が楽しんでいるわけだが、

私はディズニーランドに行くたびに、
その銅像を眺めながら、この人物がいなかったならば、
この人たちの笑顔も存在しないのかと思うと、
その影響力の巨大さに恐れ入るのだ。

そして彼の幼少期の原点をたどれば意外なことに、
このメディアエンターテイメントの帝王が、
理想の家庭像とは程遠い過酷な幼少期を過ごしたことがわかる。


ウォルト・ディズニーの原点
ーーーーアメリカ文化学者の分析

ウォルト・ディズニーは1901年12月5日、
アイルランド系の貧しい家庭に生まれた。

彼が幼少期を過ごしたミズーリ州は
アメリカ本土のほぼ真ん中にあり、
そこは厳しい自然環境で知られている。

夏はすさまじく暑く、冬は厳寒の内陸性気候で、
その気温はしばしば氷点下20度に達した。

厳寒のさなか、
ブリザードで凍死する人も多かったという。

ハッピーオーラ全開のディズニーランドの創業者が、
過酷な環境で生まれ育ったというのは
いささか意外ではなかろうか。

ウォルト・ディズニーの世界観は、
温暖な気候と豊かな自然に恵まれ、
「自然を共存と崇拝の対象とする文化圏のアジア人からは生まれてこない発想」
だと指摘するディズニー研究家を紹介しよう。

ベストセラー『ディズニーランドという聖地』の著者で、
東京大学名誉教授の能登路雅子教授は、
以下のように筆者との対談で解説してくれた。


自然の脅威を制覇する、
天地創造論がウォルトに与えた影響

「ディズニーの、日本人じゃ考えられないほどの砂漠に
 ジャングルをつくるスピリットは何なのか。
 自然を否定して、雑草一本生えてはいけないという
 異常なコントロール精神がすごい。
 ある種狂信的な思想がなければ、あんなものはつくらないはずよ」

能登路教授がそもそもディズニーランドに関心を持ったのは、
「なぜ人工的な世界を巨額を投じてつくったのか」という疑問と、
「蚊とかハエがいないという不自然さ」にあったという。

「アジアの人々は自然を根こそぎ切って
 別のものをつくるという考えがない。
 しかし、ウォルトが幼少期を過ごしたアメリカ中西部では、
 自然は恵みでなく脅威だった。
 日本みたいに自然に恵まれているところからは、
 ディズニーランドは絶対にできない

と能登路教授は指摘するのだ。

実際のところ、
もともとディズニーランドの敷地一帯は、
すばらしいイチゴとオレンジ農園であった。

普通、美しいオレンジの木などは
テーマパークに活かせると思うものだ。

しかし、ディズニーは結局一本も残さず、全部更地にした。

能登路教授曰く、
アメリカ文明は、人生も自然もリセットできるという、
 『天地創造』の価値観が原動力になっている。
 キリスト教主体のアメリカの多くの人々にとっては、
 地球は神さまが一からつくったものであり、
 同様にディズニーランド建設後は、元の姿はなんの痕跡も残らない。
 この『天地創造の考え』を理解しなければ、
 ディズニーランドの原動力は理解できない
というのだ。

グローバルメディア帝国・ディズニーの原点を考えるとき、
忘れてはいけないのが、創業者ウォルトの原体験と、
その文化背景からくる世界観である。

思えば、ライオン・キングしかり、アナ雪しかり、
モアナしかり、さまざまなディズニーの名作でも
猖榲の自分の原点を知る〞ことの大切さが謳われている。

仏教をはじめとするさまざまな哲学の基本と同様、
自己認識を深めることが、自己実現への第一歩なのだ。

さあ、これからディズニーの長い旅路をめぐる冒険に出る前に、
そもそもディズニーランドの原点とは

自然の猛威から逃れ、完璧で安全な世界をつくりたいという
 宗教的な天地創造願望が、ディズニーの新しい世界を創る力の原点にある
との深い哲学的認識を胸に刻んでおこうではないか。


1.ディズニーレッスン  Disney Lesson
自分を理解するうえでは、
幼少期の原体験と社会の文化背景を理解することが重要。
ウォルト・ディズニーが完璧で安全な世界を志向した一因に、
幼少期の厳しい自然環境下で過ごした原体験と、
天地創造論的な当時のアメリカ文化が背景に存在する。


Column
過酷な自然環境以外の、ウォルトの原体験とは?

創業者ウォルト・ディズニーが少年期を過ごした
過酷な自然環境での原体験とその完璧主義、
そして「天地創造」の宗教的世界観が、「夢の国」建設につながっている。

ただ世の中に厳しい自然環境で幼少期を過ごした人など、ゴマンといる。
ミズーリ州ほど厳しくなかったが、私が幼少期を過ごした京都盆地の冬も、
なかなかの寒さである。

しかし、めちゃくちゃ寒い、くらいでは
「ほな私もディズニーランドをつくろっか」
という発想には到底つながらない。

ちなみに私が今暮らしているシンガポールや
しょっちゅう行くインドネシアは、年がら年中暑い。

しかしやはり、めちゃくちゃ暑い、くらいでは到底、
「ほな大きい遊園地でもつくろうか」とはならないのである。

それでは、
ウォルトをディズニーランド建設という
大それた夢に向かわせた他の原動力とは、
いったいどのようなものだったのか?

マイナス20度の故郷出身のウォルトが、
なぜあれほど「子どもに夢を与える」を
自分の夢にするようになったのだろうか? 

引き続き、その謎に迫っていこう。


⊆分の潜在願望を理解しよう
ターゲットは、すべての人間に潜む「子ども性」

人の潜在力を発揮させるためのコーチングの基本は、
潜在意識の中で自分が本当に欲しいものに気づかせることである。

人間は一日に3万回を超える決断を行なっており、
その中の実に95%が潜在意識、
無意識の中で行なわれているという。

だからこそ、
自分と他者の潜在意識を顕在化させて理解することが、
犲己実現〞の第一歩として大切なのだ。

ウォルトが潜在的に求めていたのは、
その犹劼匹眄〞の開放であった。

ウォルトは、
「人はいくつになっても子どもの無垢な心と好奇心を失わない」
という人間観を抱いていた。

たしかに、私もたいがいの年齢になったが、
子どものときの好奇心や願望、子どもっぽさは、
残念ながら全然変わらない。

本書をお読みくださっている方々の中にも、
内心「自分は変わらないなぁ」と思っている人も多いのではないか。

能登路教授の言葉を借りれば
「憂いのなかった昔に対するノスタルジア、
 無垢な子ども時代に帰りたいという回帰願望は、
 ディズニーランドの最奥の小さな子宮の中にある」
のである。

このような無邪気な子どもの世界を自分の仕事の対象としたのは、
ウォルト自身の生い立ちに深く結びついている。

能登路教授は、
ウォルトの人生における
本来的意味での子ども時代の不在と、
その裏にあるとてつもなく厳格な父親の存在が、
ウォルト・ディズニーのトラウマとなり、

まさにそれが「夢の国」建設の原動力となった、
と解説するのだ。

ベンチャーキャピタリストとして活躍している友人が、
ベンチャー投資で一番重視するのは、お金ではなく
その原体験を元に起業しているかどうかだと言っていたが、
このことと共通している。

お金が原因で頑張る人は、困難に打ち勝てないが、
原体験が原因で頑張る人は、お金が尽きても自然と最後まで頑張るからだ。


厳しい父親とトラウマ
ーーー「夢の国」の原点は、「失われた幼少期」の再構築

貧しい家庭に生まれたウォルトの幼少期は、
常に父への恐怖に脅かされたものであった。

ウォルト・ディズニーの祖先は、アイルランドからの移民だが、
さらにさかのぼれば、フランスからイングランド、
アイルランドを経てアメリカに移住している。

ちなみにディズニーという姓は、
フランスのノルマンディ地方のイジニーから11世紀に
イギリスやアイルランドに渡英したノルマン人の末裔であることを示す。

のちに英語風に発音が直され、ディズニーとなったという話は、
ディズニー家の有名なファミリーヒストリーだ。

自然環境が厳しい中、
ウォルトは家庭環境にも恵まれなかった。

父イライアスはカリフォルニアでの金鉱探しや農業で失敗した。

イライアスは子どもたちに対し、
愛情に欠けた厳格な態度で接したため、
5人の子どもたちとは交流が浅く、

ウォルトや8歳上の兄ロイが成功を収めた後も、
あまり打ち解けた関係にはならなかったようだ。

当時の労働者家庭のごたぶんに漏れず、
ディズニー一家の生活は大変厳しかった。

ウォルトは新聞配達、薬局に処方箋を届ける仕事をし、
学校の昼休みには向かいの菓子屋の掃除に駆けつけ、
その報酬として昼食にありついたという。

小学生時代は朝3時半に起きて新聞配達をする
(しかも朝夕)という生活を、
兄とともに6年間続けた大変な苦労人である。

のちにウォルトは映画「メリー・ポピンズ」などで、
この厳寒の中での新聞配達のバイトが
いかに自分のトラウマになったかをさまざまな場面で語っている。

彼は晩年になっても、
「大雪の中、新聞配達をし忘れて、父に怒鳴られる」
という悪夢にうなされていたというのだから、
そのトラウマたるやかなり深刻だ。

このような厳しい家庭環境下で育ったウォルトの幼少期には、
少年の遊びというものがなかった。

さらには、父が厳しく体罰をふるうため、
上の兄3人は高校を卒業すると家を出てしまった。

父イライアスから、今の基準に照らせば
児童虐待ともいえる仕打ちを受けながら、

彼はのちに生涯の仕事とした
アニメーションというきわめて空想的な世界で、
「自分の失われた子ども時代を1コマ1コマ、再構築していった」(能登路教授)
のであった。


お客さんは、すべての人に潜む「子ども性」

私たちは、自分の会社のお客さんが
猖楴租には誰か〞を考えたことがあるだろうか?

ディズニーが対象とする犖楜〞犲要〞とは、
何も子どもだけを対象にしたものでも、
夢見る女性をターゲットにしぼったものでもない。

ディズニーランドは、年齢や性別、社会的な属性は違えど、
大人を含めてすべての人間に潜む犹劼匹眄〞をターゲット
につくられているのである。

なんだかピーター・パンみたいな話だが、
誰しもその心の中にピーター・パンが潜んでいるものではないか。

そしてその潜在意識をビジネスに変えたのが、
ウォルト・ディズニーその人なのである。

ここで私たちが学べる人生への教訓は、
自分の「潜在意識の原点」を知ることの大切さだ。

自分が潜在的に抱いている強い願望を、
顕在化するエネルギーこそが成功につながるのである。


2.ディズニーレッスン  Disney Lesson
原体験からくる自分の潜在的願望を理解し、顕在化させよう。

ディズニーは、厳しい自然と
家庭環境で失われた幼少期を再構築すべく、

「すべての人の子ども性」

を相手にビジネスに打ち込んだ。

『最強のディズニーレッスン』
『最強のディズニーレッスン』
(ムーギー キム・著)(プロジェクト ディズニー・著)
発行:三五館シンシャ 
発売:フォレスト出版


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