ある日、突然チベットの高僧になる

私の名前はザ・チョジェ・リンポチェと言います。

皆さん私のことを「リンポチェ」と呼んでくださるのですが、
そもそもチベットにおけるリンポチェが
どのような存在か、ご存じの方は少ないでしょう。

リンポチェというのは、
チベット密教ゲルク派の高僧の称号です。

日本でお坊さんになるとしたら、
お寺の家に生まれてその跡取りになるとか、
自分の意志で仏門を志すといったイメージを持つ人が
多いかもしれません。

でも私の場合、それはある日突然やってきました。

16歳のときでした。

インドのチベット人難民キャンプから
父とダライ・ラマ法王からの親書をたずさえた大勢の使者たちが
寄宿舎のある学校にはるばるやってきたのです。

その親書には、
ダライ・ラマ法王の手書きで、

私が
「ザ・チョジェ・リンポチェの6度目の転生者である」
ことが書かれていました。

ザ・チョジェ・リンポチェといえば、
チベット人なら誰もが知っている偉大な高僧です。 

2500年前まで遡さかのぼりますが、
お釈迦様の十大弟子の一人で
優波離(ウパーリ)といわれる僧侶がいたのですが、
その僧侶が転生しているといわれています。

私はその日、その瞬間までは、
どこにでもいる普通の男の子でした。

ロングヘアーに穴の開いたジーンズを穿いた
バスケットボールに夢中の一少年が、
ザ・チョジェ・リンポチェの転生者であるだなんて、
まったく青天の霹靂です。

自分がザ・チョジェ・リンポチェであったという
前世の記憶は微塵もありませんでした。


「リンポチェ」になる方法

リンポチェになるには、3種類の方法があります。

私のように「生まれ変わりとしての存在」のほか、
「仏教徒として偉大な業績をあげることで認定される人」
「それぞれの寺院が独自に認定し、後にダライ・ラマ法王によって認定された人」
です。

生まれ変わりの場合、その多くは
物心つく前の子供であることがほとんどです。

私のように16歳でリンポチェになるというのは
チベットでも稀なケースでしょう。

そこには歴史的な理由があります。

前世の5代目ザ・チョジェ・リンポチェは
東チベット(チベットカム)の広大なエリアを統治していました。

1959年にチベットと中国の間で問題が起こり、
チベットは自国を失います。

リンポチェは毛沢東率いる紅衛兵の侵略によって
囚とらわれの身になり、拷問の末32歳で亡くなりました。

でも、その事実が外部に知らされることはありませんでしたから、
チベットの人たちは長い間リンポチェが生きているのか
死んでいるのかわからないままだったのです。 

彼の死がチベット人に知らされたのは、
ともに投獄をされていた僧侶たちが解放されて
ダライ・ラマ法王に報告がなされたときです。

代々、ザ・チョジェ・リンポチェは
東チベットの王様のような存在であり、
チベット仏教にとって重要な人物とみなされていましたから、

これはどこに輪廻転生しているのか見つけ出さねばと考えた
ダライ・ラマ法王の指示のもと、捜索隊が作られ、
ザ・チョジェ・リンポチェ探しが始まったのです。

そのときすでに亡くなってから20年近い年月が経ち、
1984年になっていました。

それが私、6代目のリンポチェが見つけ出されるのに
時間がかかったいちばんの理由でしょう。


転生者を見つける方法

転生者をどのように見つけるかというと、
チベット仏教には高僧だけができる占いがあります。

ごく簡単に説明すると、
サイコロのようなものを3つ使って、
そこに出る数字によって占う方法です。

3つのさいころの目がそれぞれ、
1、1、1だったら、足して3になります。

3にはどのような意味があるかを見ていきます。
 
最初にどこに転生しているかという場所を探します。

チベットにいるのか、インドにいるのか、ほかの国なのか。

私の場合は、「インドに転生している」と出たそうです。

古くから伝わる占星術でも占われました。

次に、インドの東西南北のどのエリアなのかを調べてみると、
それは南インドでした。

チベット人ですから、
難民キャンプに暮らしているのだろうとなりますが、
そこにも膨大な人数がいます。

その中の誰なのか、さらにその少年が
14〜16歳であることまで絞り込んだそうです。

占いで導き出されたチベット人難民キャンプから
14〜16歳の少年の該当者リストが上がってくると、
ダライ・ラマ法王がリストを眺めて、「この少年だ」
と、当時の私の名前チョンジュルを指したのです。

選ばれた捜索隊はそれ急げと
インドにあるチベット亡命政権のキャンプの
私の実家にやってきました。

それだけで実は3ヶ月もかかっていたのですが、
捜索隊が自宅に到着したとき、
私はインド政府がつくってくれた
チベットの子供のための寄宿舎学校に入っていて不在でした。

寄宿学校はバラナシのサルナートというところにあり、
自宅からはさらに30時間以上かかります。

捜索隊はキャンプの家から父を連れて、
寄宿舎までやってきたのです。

あなたのなかの幸せに気づく チベット聖者の教え
あなたのなかの幸せに気づく チベット聖者の教え
ザ・チョジェ・リンポチェ (著),‎ 福田典子 (翻訳)


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