「お客様は喜んでくれる?」と考えることが商売の第一歩

大阪市平野区にある洋菓子店の
「パティスリー・ガレット」(スタッフ10名)は、
2004年に創業しました。

お店は平野郷といって、
昔ながらの風情を残す町で営まれています。

パティスリー・ガレットのオーナー久保さんは
値引きやキャンペーン、クーポンといった価格で
勝負するようなことはなく、チラシもまきません。

しかし数年間、来店客数と業績がともに
「120%連続して伸びている」という小さなお店です。

いったいどのような取り組みで
成果を出しているのでしょうか?

オーナーの久保さんに話を聞きました。

私はずっと自分(お店)が喜ぶことを考えて、
ケーキづくりや販売に取り組んできました。

だから業績が良くならなかったのだと思います。

いつも頭のなかは
もっと売上げを上げるためにはどうすればいいのか、
廃棄やロスを減らすにはどうすればいいのか、
そんなことを毎日考えていました。

それがある夜の出来事ですっかり考えが変わりました。

お誕生日ケーキを買いに来られたお客様が
スッカラカンのショーケースを見て、
「これ1つしか残っていないのですか? 
いまからつくってもらうことはできますか?」と言いました。

私は生地や素材もないので
「ごめんなさい、つくることができません」と
お断りをしてしまいました。

そのときのお客様のがっかりした顔は
いまでも忘れられません。

私はケーキのロスを減らしたいばかりに、
午後5時以降にデコレーションケーキは
つくらない考えでいました。

閉店間際になったときに、
デコレーションケーキを完売することで
「やった!」と喜んでいたのです。

しかし、よくよく考えてみると、
それってお客様の立場になってみたら
どうなのだろうかと考え始めました。

たとえば、午後7時に
お客様がデコレーションケーキを買うために
私の店を訪れて、ショーケースを見ると、
1つまたは2つのケーキだけしか残っていない。

もっと早い時間なら、
5つ並んでいて通常の状態なのです。

これって、お客様にとってまったく選択肢がありません。

しかし、私は
「予約しなかったんだから仕方ないでしょ」
と思っていたのです。

自分だけがバンザイ! と喜んでいても、
お客様はまったく喜んでいない状況でした。

つまり、お客様をがっかりさせていたのです。

たとえ陳列しているケーキを買ってもらっていたとしても、
お客様は「喜んで買い物をしているわけではない」
ということに気がついたのです。

そこで、デコレーションケーキを
午後5時以降もしっかりつくって
ショーケースに5つ並べてみたら、
お客様はどのような反応をするだろうかと試してみました。

数カ月後に集計を取ってみたら、
なんと通常の1・4倍売れていました。

私はこれほど多くのお客様を
がっかりさせていたかと反省しました。

ケーキすべてが完売できたわけではありません。

残り物も出ましたが、
デコレーションケーキに限らず、
ほかの生クリーム系のケーキや小物などの
販売数量が伸びたのです。

久保さんはスタッフと一緒に、
「どうすればよりお客様に喜ばれる店づくりができるのか?」と
考える機会を持つようにしたと言います。

そこで、最初に
「繁盛店の法則」(私の執筆した月刊コラム)を
スタッフみんなに回覧して読んでもらうことから始めました。

「繁盛店の法則」は毎月1つのテーマで、
事例を交えて課題解決の方法を書いたコラムです。

これを事前にスタッフに読んでもらうことで、
「何をどうすればいいのか?」がイメージしやすいと考えたのです。

私は課題のワークシートを印刷して
「これを次回の会議までに考えてみてくださいね」と
スタッフに配りました。

数日後、あるスタッフが
「こうすればもっとお客様が喜んでくれると思うのですが……」と
ワークシートを見せてくれました。

ワークシートにはびっくりするほど
たくさんの意見やアイディアが書かれていました。

私はスタッフが考えたアイディアを
積極的に採用するようにしました。

次号のテーマは
「お客様に不便をかけない」という内容でした。

私は
「テーマの各項目に、あなたの体験やアイディアや
考えなどを書いて提出してください」と
会議の2週間前に、スタッフにワークシートを手渡しました。

ワークシートは3つの項目に絞りました。

1.今まで、どこかへ買い物に行った時、
  イヤな思いをしたことを、挙げてください。

2.ガレットで、お客様に不便をかけている事、
  また、イヤな思いをさせてしまっている事を、挙げてください。

3.2の改善方法、対策が思いつくものがあれば、挙げてください。

1の
「今まで、どこかへ買い物に行った時、
 イヤな思いをしたことを、挙げてください」
という項目には、
自分自身がお客様の立場になって
体験したことを書いてもらうように伝えました。

すると……。

「笑顔なし」
「仕事やる気なし感が伝わってくる」
「商品の説明が分かりにくい」
「値段が分かりにくい」
「欠品がっかり」
「店が汚い」
「忙しい時の接客が悪い」
「ポイントカード・小銭落としている」など、

スタッフ自身が感じたことを書いてくれました。

次に、2の
「ガレットで、お客様に不便をかけていること、
 また、
イヤな思いをさせてしまっている事を、挙げてください」
という項目は、
お客様の視点で自分のお店を観察してもらいました。

すると、次のような意見が出てきました。

・ポイントカード(消費税分付かない)
・デコ仕上げ(時間前に来店の時)
・新人の子のフォロー

どんなことでお客様にイヤな思いをさせているのか、
お客様の立場になった意見でした。

私はそれぞれについてスタッフに聞いてみました。

・ポイントカード(消費税分付かない)

パティスリー・ガレットでは、詰め合わせの場合、
内税のポイントはつけていませんでした。

しかしスタッフが言うには、

「私がお客様の立場だったら2500円を払っているのに
 ポイントが2315円の税抜価格でしかついていない。
 185円の消費税分ですと言われても、それは店側の都合であって、
 お客様は2500円を支払ったのだからおかしい。
 支払ったお金とポイントに差が出るのは、何だか損をしたように感じる」

ということでした。


・デコ仕上げ(時間前に来店の時)

デコレーションケーキを予約してくれているお客様が
受け渡し時間の30分前に
パティスリー・ガレットに来店されたことがあったそうです。

まだ予約時間の前なので仕方ありませんが、
30分ほど待っていただいたことが
何度かあったということでした。


・新人の子のフォロー

お客様から「領収書をお願いします」と言われたときに、
よくわからずバタバタとして時間を待たせてしまったことがありました。

3の
「2の改善方法、対策が思いつくものがあれば、挙げてください」
の項目では、以下のアイディアや意見が出てきました。

・気持ちの良い接客

・お出迎えやお見送り
 →ドアの開閉。
 とくにベビーカーで子供連れのお客様やお年寄りの方には
 忙しいときこそ全員が注意を払い対応する。

・欠品しない(とくに季節物)
 →イチゴやメロンなどの季節物のフルーツ系のケーキは、
 人気が高いので欠品しがちになっている。

・デコを早めに仕上げる
 →デコレーションケーキは予約時間に合わせてつくっていたので、
 予約時間にきちんとお渡しできることが良いことだと考えます。
 でも少し早めにケーキをつくっておいても
 何の問題もないことに気がつきました。

・ポイントカードに内税つける!

・お客様が荷物を落とされたときのフォロー
 →レジの周りは財布を取り出すときに
 バッグからほかの荷物が落ちることが多々ありました。
 「大丈夫ですか?」と声をかけるだけではなく、
 レジ前からお客様のところまで出て対応したほうがいい。

・新人の子のフォロー
 →お客様を接客している現場で
 先輩が新人をフォローして、お客様を待たせないようにする。

久保さんは、スタッフ自らが改善していく姿に、
最後に笑顔でこう話してくれました。

自分たちで考えて
自分たちで行動するスタッフを見ていて、
頼もしくなりました。

スタッフの行動が少しずつ変わってきたある日、
こんなことがありました。

あるお客様がレジで「カードは使えるのですか?」と、
財布からクレジットカードを取り出して言いました。

対応したスタッフが
「カードは使えません。現金でお願いしています」と言うと、
「ちょっと待っていてくださいね」とお客様は外へ出て、
国道を渡ったところにある銀行まで現金を引き出しに行かれたのです。

これまで1週間に1回程度、
カードの取り扱いについて聞かれることはありましたが、
たいしたことではないと思っていました。

また、クレジットカードの取り扱いで
いくらかの手数料がかかるので尻込みをしていました。

しかし、スタッフがこうした体験を話してくれたことで、
「お客様にとても不便をかけていることだ」と思い、
すぐにクレジットカードを取り扱えるようにしました。

クレジットカードの取り扱いを始めてしばらくすると、
1日に2〜3人、土曜日には10件ほどのお客様が
利用しておられることがわかりました。

さらに、
クレジットカードを利用するお客様の平均購買単価は、
現金購入される方よりも高いこともわかりました。

このように、
お客様に不便をかけていることを解消していくことで、
お店の業績は確実によくなっています。

以上、
パティスリー・ガレットが取り組んだことを、
あなたのお店や会社で実際にどんな取り組みができるか
落とし込んでみてください。

お客を呼ぶ!スゴい仕掛け
お客を呼ぶ! スゴい仕掛け
佐藤元相 (著),‎ 竹田陽一 (監修)


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