まえがき

『フェイク』というアメリカ映画をご存じでしょうか。  

マフィアの世界に
FBI潜入捜査官として潜り込むジョニー・デップと、
しがないマフィア役のアル・パチーノとの
哀しき友情を描いた、実話に基づく物語です。  

劇中、マフィアの生態を
ジョニー・デップが捜査官仲間に
説明するシーンがあります。

マフィア連中はどんなときも、 
「Forgetta ‘bout it!(くそったれ!)」
を使います。

嬉しいときも、悲しいときも、めでたいときも、
怒り狂っているときも、
「Forgetta ‘bout it!(くそったれ!)
つまり、「くそったれ」が彼らの口ぐせなのです。

私は下町の診療所の院長として、
外来・往診で年間のべ約二万人の患者さんを
一〇年間診療してきました。

患者さんの中には家族四世代に渡って
診療させていただいているケースもあります。  

患者さんや家族と悲喜こもごもともにしていると、
意外な発見をすることが多々あります。

治療に難渋する患者さんと、
あれよあれよという間に治癒する患者さんの使う
「口ぐせ」にある種の傾向があることがわかったのです。

そして、その「口ぐせ」は
家族間で共有されることが多いということも。

本書を手に取っていただき、本当にありがとうございます。 

「口ぐせだけで病気が治るわけがないだろ!」  
と思われた方がほとんどだと思います。  

いま本書を読んでいる方は、

□現在何らかの「病」の状態にある方 
□健康問題に関心が高い方 
□身内や友人が「病」の状態にある方 
□トンデモ本の類だろうと高を括っている医療関係者の方々

のいずれかに属するはずです。

人生で「病」と無縁の人は皆無です。

「病」は人間の悩みのかなり大きな部分を占めています。

自身であれ、大切な人であれ、
ひとたび「病」の状態に陥ると
「幸せ」は瓦解するはずです。

二五〇〇年前のお釈迦さまの教えにある
「生・老・病・死」が人間の苦しみであることは
現在でも変わりません。  

医療水準は世界一と言っても過言ではない日本ですが、
果たして苦しみは軽減されたといえるのでしょうか?

むしろ、苦しみは、手を替え品を替え、
増えているような気すらします。  

東京都保険福祉局による調査で
「これまでの人生の中で、自殺したい、
またはそれに近いことを考えたことがある人」が
四五%というとんでもない結果が出されました
(二〇一七年八月二九日発表)。

少子高齢化社会と逼迫する医療経済。

連日報道される医療事故。

有名芸能人の病死にまつわる情報......。

医療の将来に暗澹(あんたん)たる気持ちを抱くのは、
やむを得ないと言えます。

あえて提言します。

深刻ぶるのは止めましょう。 

「病」とは自分の身体が表現する
「ひとつの状態」に過ぎません。 

「病名」は医師の診断のもと与えられた瞬間、発生します。 

「はじめに言葉ありき」なのです。 

「病名」が与えられた瞬間、
周囲の環境が一変します。

そして、目に入る情報も変わります。

最近当院のスタッフが膀胱がんになりました。

無事手術も成功し、術後も順調です。

そのスタッフは外来受診した際に、
「最近がんの人が増えていますね」と言っていました。

そんなことはありません。

がんになることによって、
今まで意識に上がってこなかったがん患者の情報が
一斉に集まってくるようになっただけです。

「がん」というワードに敏感になっているから、
まるで蛍光ペンで上塗りされたように、
「がん」という文字が入ってくるようになるのです。

「ハワイ旅行に行こう」と決めた瞬間から、
ハワイに関する情報に囲まれているような気になった
経験はないですか? 

電車の中吊り広告が目に入る、
ハワイ特集の雑誌やテレビ番組がやたらと増える、
周囲にハワイに行った人が増える......。  

人間の脳はあることを意識すると、
その情報が集まってくるようになるのです。

もう一例お出ししましょう。

ギターを始めた整形外科医の後輩がいます。

彼がギターを購入するときに付き合い、 
ギター選びの助言をしました。  

一か月後、「ギター練習してる?」と訊くと、

「まあボチボチです。しかし、
最近ギ ター弾く人増えていますね。
ギター抱えている人が増えていませんか?」  

医師でさえ、こんな具合です。  

要は何を「意識」するかで
自分の見える景色が決定するということです。 

「意識」を変えるのは容易ではないと思われるでしょう。  

でも、肉体と違い、「意識」とは実体のないものです。

肉体を変えることよりは簡単なはずです
(肉体を変えるのはライザップでも最低二か月かかります)。 

「意識」を変えることは一瞬でできる、
とまずは確信してください。  

ある患者さんが
「戦争が終わってすぐに天皇陛下が神から人に変わった」
と言っていました。

そしてほとんどの人がそれを受け入れたと。 

「意識」は一瞬で変わります。

まずはそれを受け入れること。

それが第一歩です。 

「人間そう簡単に変わらない」という
「口ぐせ」は捨て去って下さい。

そして、「意識」を変える最も有効な方法が
「口ぐせ」を変えることなのです。  

本書で、その具体的方法を実例を交えて説明します。

「口ぐせ」が変われば「意識」が変わります。

そして、「意識」が変わって初めて真の意味での
「行動・習慣」が変わります。  

その名の通り生活習慣病のみならず、
どんな「病」も、克服するには
「行動・習慣」が変わる必要があります。

ここでいう行動・習慣には
もちろん適切な受診や、服薬も含まれます。 

「意識」を変えることなく「行動」を変えたとすると、
そこにはストレスが発生します。

いうまでもなく現代のあらゆる「病」は
ストレスと無縁ではないので、
新たな「病」を生み出すようでは
本末転倒という他ありません。 

「口ぐせ」を変えることによって、
周囲の人との関係も変わってきます。 

本文で詳細は述べますが、
「口ぐせ」とは「指さし確認」です。

「口ぐせ」が変われば、
人生の風景が変わります。

主治医との関係も変わるので、
あれほど恐怖心を抱ていた病院の医師の顔も変わります。

以下が「口ぐせ」を変えることによる効能です。

◎「病」の捉え方が変わる
◎「病」への対応が変わる
◎「病」に対する意味のない妄想がなくなる
◎「病」とは変化し続ける自分自身の「一状態」に過ぎないことを知り「病」が消える

「口ぐせ」というと、
「やっぱり」とか「とりあえず」など
短いフレーズを想起するのではないでしょうか。  

本書では、行動・習慣につながる考え方を形成するために
繰り返す必要がある言葉をすべて「口ぐせ」として扱うことにします。

「くせ」になるほど唱えてほしいのです。  

本書で指南する方法は副作用なし、
コストもほぼゼロです
(あえて言えば、人間関 係が改善する、
経済的に満足する、などの副作用が出現する可能性はあります)。 

「病」に対する、いらぬ妄想を捨て去り、
自分のやりたいこと、自分のやるべきことに専念し、
本来の目的である「幸福の追求」に没頭できる人が
増えてくれれば望外の喜びです。  

巻末に、口ぐせの基本フォーマットと、
症状別に効能が期待できるサンプル集(口ぐせ処方箋)を付けました。

有効活用していただければ幸いです。

病は口ぐせで治る!
『病は口ぐせで治る!』
(原田文植・著)


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