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「異情」とは?

「異情」。

聞いたことも、見たこともない言葉と思われる方が
ほとんどでしょう。

私が調べたかぎり、
「異常」や「以上」はありますが、
どの国語辞典にも出ていません。

私の造語と考えてください。

まず、申し上げておきたいことがあります。

「異情」は、「他の人と異なる感情」という
意味ではありません。

私が「異情」に込めた意味はこうです。

「異情」とは、
「人間の合理的思考を奪う感情」。

これが「異情」の意味です。

もう少し噛み砕いて言えば、
「感情コントロール」ができずに
思考停止状態となったり、
言動が暴走する状態を
引き起こしたりするような感情です。

「異情」とは、その意味で言えば、
人の健全な状態の感情が
いくらか損なわれた状態とも言えます。

ですから、「異常」な色を帯びることも
まったくないわけではありませんが、

「きわめて特殊である」という意味での
「異常」を念頭に、「異情」という言葉を
使っているわけではありません。

なぜなら、日ごろから誰でも
一時的に「異情」状態に陥っていたり、
陥りつつあることがあるからです。


誰でも「異情な人」になる可能性がある

人は誰でも、怒り、不安、悲しみといった
ネガティブな感情はもちろん、
喜び、快感、意欲といった
ポジティブな感情とともに生きています。

たとえネガティブな感情が湧き上がっても、
その感情の発生原因を突き止め、
それを解消するために
合理的思考を試みることでしょう。

また、ポジティブな感情も同じです。

その感情をさらに味わうために、
あるいはさらに高めるために、
合理的思考を試みます。

しかし、特にネガティブな感情の場合、
あまりにそれが激しくなってしまうと、
その感情に振り回されて、
合理的思考ができなくなってしまいます。

そういう状態に陥ってしまうと、
ネガティブな感情はさらにネガティブな感情を
呼び込んでしまいます。

これが、私の言う「異情」状態です。

そういう状態では、
「どうして起こっているのだろう?」
というネガティブな感情の発生原因や、

「どうすれば解消できるのだろう?」
という解決策を探し出すことは困難になります。

このままでは、感情に振り回された状態が
悪化することはあっても、
脱出することは不可能になるでしょう。

ポジティブな感情も、過剰になってしまえば、
同じように合理的思考の回路が断たれて、
根拠のない感情的かつ希望的な言動に
陥ってしまいます。

思わぬ暴走をしてしまい、
取り返しのつかない
失敗をしてしまうことになります。

「異情」状態になってしまうと、
たとえば、ちょっとしたことでキレたり、
暴言を吐いたり、攻撃的になったり、
泣きわめいたり、

場合によっては、
暴行に及ぶといった言動に陥ります。

そうなると、今度は後悔、
絶望といったネガティブな感情に
振り回されることになってしまいます。


急増する「異情な人」の精神構造と付き合い方

ご理解いただいているとは思いますが、
私は感情そのものを否定しているわけでは
ありません。

多くの方々に支持と共感をいただいた
『感情的にならない本』でも、
そのことは述べています。

つまり、私が主張する「感情的にならない」とは、
激しい感情に振り回されて

「合理的思考を奪われないように
 することが大切だ」

ということなのです。

怒り、不安、不満といったネガティブな感情は、
冷静なスタンスで合理的思考を加えて検証すれば、
その感情の元となる原因に対して
「ソリューション=解決策」を見いだす
原動力になります。

ポジティブな感情はもちろんのことです。

今の社会、あるいは私のまわりを見ていると、
残念なことですが、さまざまなシーンで
「異情」状態に陥っている人が
数多く見受けられます。

本書では、「異情」状態の症状、
その原因、その本質、

そして、そのような人に対する解決方法について
わかりやすくお伝えしていきます。

また、お断りしておきますが、
本書では、現在の日本政治のシーンにおける
首相を含めた政治家たちの「異情」についても、
たびたび言及しています。

しかしながら、本書は、
決して政治評論を主眼においたものでは
ありません。

ただ、「異情」状態が
どんなものであるかをご理解いただくために、
きわめて有効な例であると考えて、
現在の政治のシーンでの
エピソードに則して述べた項目が
いくつかあります。

読者のみなさんのまわりを含めた
さまざまな社会で見られる「異情」状態の
1つの典型であるとお考えくださればと思います。


はじめに述べたように「異情」は私の造語です。

ちなみに、詩人・室生犀星(むろうさいせい)に
「小景異情」という作品がありますが、
それとはまったく関係がありません。

本書が、「異情の人」に振り回されない、
「異情」状態に陥らないことを望む
読者のみなさんのお役に立てることを、
著書として強く願っています。


         2017年盛夏 和田秀樹



9784894517691
『「異情」な人々』
和田秀樹(著)


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