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6億円に当せん!
「ミリオネア」の自分にとまどう


それは、2008年9月30日、
午後5時過ぎのことでした。

1口300円のtoto・Bigを
福岡県で10口購入した私は、
東京に戻ると、窓口の女性に券を渡し、
番号の照合を頼みました。

すると、どうも様子が変なのです。

いつもなら5秒くらいでハズレ券が返され、
それをゴミ箱に捨てて帰るのが常でしたが、
そのときはなかなか返してもらえませんでした。

おまけに、窓口の向こうで女性たちが
何やらヒソヒソ話をしているのが見えました。

(何をしているんだろう。
 ハズレ券を捨てて、さっさと帰りたいのに……)

そんなことを心中でつぶやきながら、
そのまま10分くらい待ったでしょうか。

ようやくヒソヒソ話が終わり、
女性が私のほうに向き直ると

「おめでとうございます。
 信用金庫へ行ってください」

と小声で言い、
券と照合結果を手渡してくれました。

(おや、100万円くらい当たったのかな?
 ヒソヒソ話をしていたのはそのせいか)

と、軽い気持ちで照合結果を見て、
サーッと血の気が引きました。


そこには、

「600000000円」

と、8個の0が印字されていたのです。


6億円です!


私がパニックにおちいったのは、
言うまでもありません。

いろいろな感情が一気に渦巻き、
まさにガクブル状態。

まわりの人が全員、
私が持っている当たり券を狙うスリに見えました。

混乱しつつも、
さっそく換金しようと思いましたが、
あいにく銀行の窓口が閉まっている
時間帯だったので、とりあえずゲーセンへ(笑)。

当時は実家暮らしでしたから、
帰宅までの道すがら、両親にどう話すか、
いくら渡すかを決めました。

こういうことは下手に相談するより、
自分から先に金額を提示したほうが
スムーズだと思ったからです。

私が決めた金額は、
ほかの家族にまとめて1億円というもの。

もっとも、そう聞かされた両親は、
きょとんとするばかりでしたが。

指定された信用金庫に出向いたのは、
その翌日です。

特別室に案内されて、

「新規口座を開かれますか?
 それとも今お使いの口座に
 お振り込みいたしますか?」

と尋ねられたことを記憶しています。

その担当者も、
高額当せん者を見るのは初めてなのか、
驚きを隠せない様子でした。

このときは、ずっと使ってきた口座のほうが
落ち着けるだろうと思い、
振込依頼書に大手銀行の自分の口座番号を記入して
担当者に渡しました。

6億円が入金されるのは2週間後とのこと。

待っている間は、
そわそわ、フワフワしっぱなしで、
何も手につきませんでした。

ゲーセンへ行っても上の空です。


いよいよ銀行の支店長から

「当せん金が振り込まれました」

という興奮ぎみの電話を受けて、
口座のある大手銀行へ足を運びました。


応接室へ通され、そこで迎えてくれた支店長に

「いくらでも融資させていただきます」

と話を切り出されたのですが、
とりあえず私がお願いしたのは、

「テーブルに3億円を積んでもらえませんか?」

ということ。


それを聞き入れてもらい、
この目で現金を確認して、
ようやく本当に6億円が当たったのだという
実感が持てたのです。


当せん金に初めて手をつけたのは、
入金されてから5日後です。

とりあえず、庶民の感覚では「大金」の
300万円を引き出して、
買い物をしようと思いました。

でも、まだ舞い上がっていますから、
妙な物を買いました。

アクセサリーが好きなわけでもないのに
ブレスレットを買ったり、指輪を10個買って、
全部の指にはめてみたり(笑)。

300万円の次にやってみたのは、
キャッシュカードで引き出せる限度額の50万円を、
毎日引き出すことです。

何に使うと決めていたわけではなく、
飲みに行ったり、旅行をしたり、
金庫に入れて眺めたりと、
行き当たりばったりです。

それを何か月か続けても、通帳の残高を見ると、
ほんのわずかしか減っていないのが不思議でした。


高い買い物もしました。

ディーラーに勧められるまま、
2000万円のポルシェのほか、アルファード、
ヴェルファイア、ジープ、軽自動車、
計5台を購入しました。

いちばん高額な買い物は、
1億円のクルーザーです。

もともと釣りと船舶が大好きで、
免許を持っているくらいですから、
嬉しい買い物でした。

車はほとんど手放しましたが、
クルーザーは今も沖縄に停泊させてあって、
たまにカジキ狙いのトローリングをしています。


豪遊もしましたよ。

派遣社員時代の友人を誘って、
六本木あたりに繰り出しました。

もちろん、私のおごりです。

気に入った店に通いつめ、
ひと晩に1500万円を使ったこともあります。

店のシャンパンを全部開けて、
飲めなくなったら最後は頭からかぶりました。

バカですよね。


でも、こうしてバンバン
お金を使うようになったとき、
街を見る自分の目が変わったことに気づきました。

たとえば高級ブランドの店や
贅沢(ぜいたく)な品物を扱う商業施設など、
それまでは視界にまったく入ってこなかったものが
見えるようになったのです。

それと同時に、
自分にはそんなに物欲がないこともわかりました。

と言いますか、どんな物にせよ、
簡単に手に入るようになると、
欲しいと思わなくなるのかもしれません。

そういえば、
とある飲料メーカーに派遣されていたときにも、
似たような体験をしました。

その会社には、
自社製品の自販機が設置されていたのですが、
ボタンを押せば、お金を入れなくても
商品が出てくるのです。

最初のうちは嬉しくて、
一度に何本も取り出しては、
机のひきだしにストックしたり、
自宅に持ち帰ったりしていました。

しかし、3日もすると我に返り、
「こんなことしても、意味ないじゃん」と
思うようになりました。

必要なときに、必要なだけ手に入れば、
それで十分です。

当たり前ですね。

同じ理由で、コンビニ通いもしなくなりました。

6億円が当たる前の私は、
しょっちゅうコンビニへ行き、
ムダな買い物をしていたのですが、
コンビニが丸ごと買えるようなお金を持つと、
もう個々の商品には興味がなくなりました。

そのせいか、コンビニへも
まったくといっていいほど
足が向かなくなったのです。

今思えば、ずいぶんと浪費もしましたが、
これも勉強のうちです。

こうして私は、自分が大金を持っていることに、
少しずつ慣れていきました。

スゴ運。
スゴ運。
唱田士始矢 (著)


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