こんにちは
イナガワです。

私がこの世界に入ってから、
常に勉強させていただいている先生がいます。

『マーフィーの法則』や『紫禁城の黄昏』の完訳、
日本での著作は、それこそ数えきれないくらい出版されてきた、
大評論家の渡部昇一先生です。
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4月18日、
その渡部先生の訃報が入ってきました。

正直、その後、仕事が手につかないくらい
ボーっとしてしまいましたが、
私が渡部先生と最後にお仕事をさせていただいた、
神田昌典さんとの共著、
『日本人の成功法則』をパラパラと読み返しました。
日本人の成功法則


うつろに眺める文字の先に、
渡部先生と出会ったときのことなどが思い出されました。


私がこのような追悼文じみたことを
書くこと自体おこがましいですが、
私が先生とお会いしたのは、かれこれ20年以上も前、
私が編集者としてペーペーだった頃でした。


渡部先生が上智大学の教授に就かれたのが、
ちょうど私が生まれたときですから、
もう人生の大先輩。
しかも、私がお会いしてときは、すでに大家と言われる方で、
20代そこそこの若者がお会いできる方ではありませんでした。

しかし、先生はそんなことを気にするでもなく、
組み立ててきた構成にそって、
私でもわかるようにお話を始めました。

当時はICレコーダーではなく、
カセットテープに取材音声を録音しておりましたが、
渡部先生から語られるお話は、
人の名前から、出来事が起こった年月日、
その出来事を取り巻く人たちの経歴まで、
資料をまったく見ずに、淡々と語られたのです。

ここまで空で言える方は、
現在でもお会いしたことがありません。
それくらい、あの時の衝撃は忘れることができません。


仕事で先生のご自宅に訪れるときは、
先生はいつも何かの本を読んで待っていらっしゃいました。

「情報はインターネットがあるから瞬時に知ることができるけど、
本にはけっして味わえないものがあるんです」

いつもそうおっしゃっていました。


『日本人の成功法則』(渡部昇一/神田昌典・著)
には、次のような一節がありました。

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読書には力があります。
新しいものを読んだり、
かつて読んだ本をまた読み返したりして、
人は精神に栄養を与えています。

人間の精神にとって読書は、肉体における食事のようなものです。
いわずもがなのことですが、
本のなかには書き手の思考のプロセスが赤裸々につづられています。
新しい知識を吸収することもさることながら、
さまざまな思考法に触れることが
なによりも精神の栄養になるわけです。

(中略)

子供を育てるとき、
栄養だけを考えてサプリメントや点滴で
すませる親がいるでしょうか?(インターネットのことです)
そんな親は絶対にいません。

子供を育てるには
まず母乳にはじまって離乳食、次いでふつうの食事、
それからリンゴをかじらせたり魚の骨をしゃぶらせたり……と、
いろいろなものを食べさせていきます。
そのとき子供はアゴを動かし、嗅覚を働かせます。
また、味覚を養い、テーブルの上に並べられたご馳走を見て
視覚も楽しませるのです。
五感すべてを働かせて食べる。
腸などの消化器官もそれによって発達する。
そうして子供は成長するのです。

もしも子供がサプリメントと点滴だけで育てられたなら、
口やアゴも丈夫にならないだろうし、
味覚、視覚、嗅覚その他の感覚も発達しません。
胃も腸も退化萎縮しているでしょう。

その意味でも、
本すなわち読書というのは
「精神の食べ物」なのです。

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知的生活の重要を唱え、
読書の大切さを教えてくれた渡部昇一先生に、
心から感謝申し上げます。


本心を申し上げるなら、
今こそ渡部先生に、これからの日本の行く末、
日本人の生き方や覚悟についてご教授いただきたい。

日本になくてはならない方が
この世を去ってしまったのは、本当に残念です。

御冥福を、心よりお祈り申し上げます。


最後までお読みいただきありがとうございました。