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それは一本の電話から始まった

「えっ!3件!そんなはずは……」

その電話が全ての始まりでした。

入社して3年目に、
全社的な来園者数が伸び悩んでいた時、集客強化策として、
初めて企画から運用まで全てを自分一人で行い、

「これで大幅な集客増間違いなし!」

と自信満々で行ったキャンペーンの結果です。

今思うと、目標もかなり可愛い数字で、
これで全社的な集客低迷の底上げをしようと
思っていたのもおこがましいのですが、

いずれにせよ目標1000件(集客3500人)の
数字を掲げたにもかかわらず、
たった3件の受注(目標比0・3%)という
散々な結果に終わったのです。

まずはそのキャンペーンを振り返ってみます。


2年連続の前年割れを建て直すには?

キャンペーンを行ったのは、
ちょうど西暦2 0 0 0年のことでした。

前年の集客も大幅に前年割れしており、
2年連続の前年割れは許されないと、
集客の上積みが期待できることは、
どんどん取り込んでやっていこうという
全社的な流れになっていました。

私はその当時、関西から東京ディズニーランドへ
お越しになるゲストの集客責任をもつ
営業部の大阪事務所に勤め、
旅行会社と一緒になって
集客を拡大する仕事をしていました。

所長以外に所員は二人しかいない部署でしたので、
自分が提案すれば、部門提案としてほぼ100%採用され、
自分で取り組める環境にありました。

入社3年目で初めて、企画から調整、運用と
全てを自分でやれるチャンスにめぐり合い、
生まれ故郷である関西エリアから
大規模な集客を行うことで、

「地元に精通した人間は一味違うぞ」

というところを見せてやると、
意気込んで取り組んだのがこのキャンペーンでした。

ただ、当時の私は集客を増やすために最も大切なのは、
価格を下げることだと本気で思い込んでいました。

今までなかったような価格が出せれば、
お客様が飛びついて集客は増えるはずだと
思っていたのです。

今思うと恥ずかしいのですが、
当時は価格が全てとさえ思っていたのです。

とはいえ、パスポートの値段を
簡単に下げることはできません。

関西からとなると当時はほとんどの方が
旅行会社でツアーを申し込む時代です。

旅行商品を作り、販売しているのは旅行会社であって、
我々は旅行会社に東京ディズニーランドの
入園券を契約して売ってもらっているに過ぎません。

どう考えても、
往復の交通費や宿泊代を下げないことには
ツアー価格を安くすることはできないのです。

かといって、入社3年目の若造が、旅行会社を回って、
やみくもにツアー価格の交渉をしたところで
結果は見えています。

そこで、商品を売るターゲットを絞ることと、
販売できる旅行会社を絞り、
一本釣りで交渉することにしました。


大手家電メーカーの社員10 万人をターゲットに

まずターゲット選びからスタートしました。

私が目をつけたのは、
関西に本社がある某大手家電メーカーでした。

本社や工場・関連会社、取引先まで入れると、
およそ10万人にアプローチが可能だったからです。

偶然、大阪に転勤する前の部署で、
この企業の担当をやっていたこともあり、
当時の先方の担当者の紹介で、

なんと夏の賞与明細の配布時に
「東京ディズニーランドへの旅」のチラシを一緒に、
社員に配布してもらえることになったのです。

オープンマーケットでは値段交渉もしづらいですが、
ここまで明確で規模の大きいターゲットがいれば、
旅行会社はもちろん、仕入先のホテルや航空会社とも
交渉がスムーズです。

クローズマーケットという建前のもとで、
「○○○○関係者様限定特別プラン」と謳うことで
先着1000組限定の格安のツアーを作ることに
成功したのです。

私が旅行会社と一緒に作った商品は、
舞浜にある東京ディズニーランドの
オフィシャルホテルに泊まって、

東京ディズニーランドの入園券が1日分、
さらに大阪からの往復の新幹線もしくは飛行機がセットで
なんと旅行代金が大人一人総額3万円を切る
破格値のツアーでした。

普通に大阪から東京を往復するのと同じ程度の金額で、
1泊2日の旅行に行けるわけですし、
賞与が出て、夏の家族旅行をどうするか話をする時に、
このチラシがあるわけなので、
完売間違いなしと思いこんでいました。

旅行会社の担当者も、ホテルの担当者も、
発売前からどこまで売れるだろうという会話しかしないほど
自信を持っていました。

打ち合わせの内容といえば、
予約の電話が一斉に鳴り出したり、
社内にある唯一対面で旅行を申し込める店舗に
人が一気に来た場合どうしようなど、
売れない想定などお互いに全くありませんでした。

とにかく気をつけたのは、人が集中した場合や、
社外の人から申込みがあったときの対応など、
売れすぎる前提でしか考えていなかったのです。

商品の発売日は賞与の翌日。

その日は他の仕事をしながらも早く結果を聞きたくて
ウズウズしていました。

夕方になり、
初日の受注結果を聞こうと旅行会社に電話をしました。

「今日何件予約入りました?トラブルはなかったですか?」

「それが1件も予約されてないんです。
 きっと何かの間違いだと思うんですが……」

「まあ、チラシを見て
 家族で話する場もまだできてないだろうし、
 しばらく待ちましょう。

 あ、まさか、
 チラシの配布忘れたってことはないですよね?」

「念のため、確認しておきます」

そんな会話を交わして電話を切ったものの、
翌日になっても、チラシは配られているのに
予約がないのは間違いではないことがわかりました。

あまりに格安だったのですぐに売り切れる想定で、
発売期間と出発日別に定員を設けていたのですが、
結果的に最終日にかかってきた電話は、

「今日で受付期間終わったんですが、
 3件しか予約がありませんでした……」

「えっ! 3件!そんなはずは……」

と、想像もしなかった結果になってしまったのです。


(つづく)


 ディズニーのすごい集客
ディズニーのすごい集客
嶋田亘克  (著)





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