こんにちは。編集部です。


連日掲載してきました今月の新刊
『世界一即戦力な男』の著者・菊池良さんのインタビューもとうとう最終日です。

 世界一即戦力な男


▼危険ドラッグよりも脳の方が危険――
『世界一即戦力な男』菊池良インタビューVol.1

▼炎上しないコツはアニメアイコンに学ぶしかない!
――『世界一即戦力な男』菊地良インタビューVol.2


前2回分、そして今回のインタビューを読んで、
みなさんが菊池さんをどう評価されるのか楽しみです。


「こいつ、狂っている」と思うか、
「いや、狂っているのを演じているんだ」と思うか。


じつは、本書の中にも登場するAR十三兄弟の川田十夢さんも、
菊池さんにはじめて会ったときは上記のように戸惑ったといいます。


果たして、あなたの評価は――?


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

菊池:
「ありのまま論争」が起きていますね。
ありのままに生きるのがいいのか、否か。

編集者の中川淳一郎さんは
「『個性』とか『ありのまま』とかをメディアも有名人も、先生も重視させようとしているけど、それって不幸なこと」
と言っています。


夢、死ね!
※参照:[前編] 新書『夢、死ね!』刊行記念 中川淳一郎&担当編集者全裸対談!
http://ji-sedai.jp/book/publication/zenrataidan_2014.html


僕も「アナと雪の女王」には根本的な矛盾があると思っていまして。


編集:
矛盾?


菊池:
松たか子が「ありのままで」を歌いますよね。
でも、松たか子はあのキャラクターを演じているんですよ。
演技しているんです。ぜんぜん「ありのまま」じゃないんですよ。


アナと雪の女王


編集:
何を言うかと思えば……。
そんなこといったらフィクションはぜんぶ「作り話じゃん」で終わりですよ。それに歌の部分だけ取り出して論じても、意味ないと思いますが。映画全体の文脈を踏まえないと。


菊池:
いやいや、あの作品自体じゃなくて、あの作品が流行る社会を精神分析しているんです。香山リカみたく。

あんまり「ありのまま」にこだわっちゃいけない気がするんですよ。
ありのまま生きたら二度寝しちゃいますし。SMAPの草なぎさんだってありのままの姿になって怒られちゃったわけじゃないですか。
じゃあ、どうすればいいのか?

中川さんは「好きにやりたきゃ、実績を作れ!」というようなことを言っていますが、これじゃ歌が下手な人に美空ひばりが「上手く歌えばいいじゃん」と言っているように感じる。

「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」って映画があるじゃないですか。あの映画こそ「これからの世の中はこれだな」って思うんですよ。

ブレア・ヴィッチ・プロジェクト



編集:
15年前に公開された映画ですよね。
何でそんな以前のものが「これから」なんですか?


菊池:
あの映画って魔女伝説を調べるために森に入った大学生が手持ちカメラで撮っていたもの、という設定なんです。フェイクドキュメンタリーといわれる手法で、この映画が大ヒットしたあと、この手の映画がたくさん出てくるんですよ。「クローバー・フィールド」「トロール・ハンター」「クロニクル」……。


編集:
昔からそういう手法はあったと思うのですが、最近はどう違うんですか?


菊池:
主観映像が増えたってことです。
それまで主観映像といえば「ロボコップ」ぐらいしか使っていませんでした。
「ブレア・ウィッチ」と同じ年に「マルコヴィッチの穴」という映画が公開されています。

マルコヴィッチの穴 


まったく違うジャンルだと思われていますが、実は違います。

「マルコヴィッチ」はビルの壁に空いた穴に入ると15分だけ俳優のジョン・マルコヴィッチの頭の中に入れるというものです。15分だけマルコヴィッチの視点になれるのです。

「ブレア・ウィッチ」は都市伝説を調査する大学生の視点になる。同じ構造です。
それとタイトルに「ッチ」が入っているところも共通している。これは舌打ちのサブリミナルですね。パンクな精神をタイトルに隠し味で入れています。

映画に限ったことじゃなくて、ゲームだとFPSものが流行っています。

キャラクターの一人称視点で戦うアクションゲームですね。これも「他人の視点に入り込む」ものです。
音楽だとカラオケがFPSだと言える。何を歌ってもちょっとモノマネっぽくなっちゃう人いますよね。あれはFPSをしているんですよ。


編集:
要するに、どういうことでしょうか?


菊池:
こういったものが流行るということはみんな他人の視点に入りたいって思っているんです。

その無意識がフィルムに焼き付けられています。
「ありのまま」だと脳に人生をコントロールされてしまいます。「ありのまま」から逃走しなくちゃいけない。


僕は常に……「大伴家持ならどう考えるだろう?」って問いかけるんです。


大伴家持


編集:
え?


菊池:
『万葉集』を編纂した人ですよ!


編集:
それはわかります。その人がどうしたんですか。


菊池:
『万葉集』って完成まで100年ぐらいかかっているんですよ。
大伴家持が生まれる前から作業をしていたわけですよね。関わっていた人みんな思っていたはずですよ。
「これいつ終わるの?」って。
そこに大伴家持がやってきたんです。
で、「いつまでやっているんだ。早く完成させよう」って言うんです。そしたら、反発がありますよね。
「俺たちはお前が生まれる前からこの作業をしているんだぞ! ぽっと出の小僧が生意気言うんじゃねえ!!」って。

ベテランの職人が。2人がキスするんじゃないかってほど顔を近づけて言い争いするんですね。

「中途半端なもんは出せないんだよ! 国家事業なんだ!」
「何をおっしゃいます! 完成させなきゃ未来に残せないでしょう!!」

で、家持がいい「編纂力」を見せてベテランが見直すんですね。「お前……やるなぁ」って。初めて顔をほころばせて。それでベテランの慎重さと、家持のスピード感の二人三脚で『万葉集』は完成に向かっていくんです。


まぁ、ぜんぶ妄想で、どういう風に家持が『万葉集』に関わっていたかはさっぱり知らないんですが。

でも、そういう家持の視点になって考えると、「あ、もうちょっと早く歩いた方がいいかな」って思ったりして遅刻が減ったりするんです。


編集:
「視点になる」がよくわからないんですが、どういう状態ですか?


菊池:
「俺は大伴家持だ」って思いながら周りを見渡すんですよ。


編集:
はぁ……。


菊池:
そうやっていろんな人の視点に立ってものを考えた方が視野が狭くならないんです。それが時には水野敬也だったり、西島大介だったり、川田十夢だったりします。
「ブレア・ウィッチ」や「クロニクル」ってそういう教訓を含んだ映画なんですよ。


編集:
違うと思います。
一応、最後に菊池さんの今後についても聞きましょうか。菊池さんは今年の4月に入社しましたが、これからの活動予定はどんな感じなんですか。


菊池:
このままじゃ……人類ってiPS細胞と最終戦争をしなきゃいけないと思うんですよ。
細胞が反乱を起こすんです。

いつまでも再生医療に使われているばかりの俺らじゃねえぞ、って。で、いくら倒しても再生してくる細胞相手に戦争になって、人類は滅亡するんです。
 

ips細胞騒動
 

編集:
…………。


菊池:
そしたら、1万年後ぐらいして、新たな文明が私たちの痕跡に気づくわけじゃないですか。そのときに「ああ、かつてこんな素晴らしい文化がこの地にあったんだな」って思えるような、そんな地球にしたい……と思っていますね。


編集:
ありがとうございました。


菊池:
あ、ちょっと待ってください。
最後にどうしても言っておかなきゃいけないことがあって。


編集:
なんですか?


菊池:
僕、「アナと雪の女王」も「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」も見ていないんで、細かい間違いがあるかもしれませんので、そこはお手柔らかにお願いします。


編集:
見てないのかよ……。


――終わり




……。
私なりに解説します。
おそらく、このインタビューで菊池さんが最も言いたかったのは私が太字にした部分、


そうやっていろんな人の視点に立ってものを考えた方が視野が狭くならないんです。それが時には水野敬也だったり、西島大介だったり、川田十夢だったりします。


だったのではないかと思います。


「ありのまま」で行動するのではなく、
他人の気持ちを忖度し、
先人の知恵に学びながら行動できる人間こそ、
文明人なのだと。


事実、本書では菊池さんが水野敬也さん、西島大介さん、川田十夢さんなどから、アイデアや生き方を学び、自分の血肉にしていこうと試行錯誤する姿が描かれております。


ともあれ、いかがだったでしょうか?


このインタビューも「ありのまま」です。
まったく本のPRになっていませんね……。
冒頭の疑問について考えてみましょう。


「こいつ、狂っている」と思うか、
「いや、狂っているのを演じているんだ」と思うか。


私にはまだ明確な答えが出ていませんが、
少なくとも菊池さんにはとてつもない狂気を感じます。


例えるなら、ジダンです。
01−02チャンピオンズリーグ決勝で決めた人間離れしたダイレクトボレー、
06年のドイツW杯決勝でのマテラッツィへの頭突き……。
対照的なシーンに見えるかもしれません。

しかし、作家の星野智幸はこの2つのシーンを例に、天才だけが持ちうる狂気について言及しておりました。


最後は持ち上げすぎた?かもしれませんが、
ぜひ「ありのまま」の自分を一回捨てて、『世界一即戦力な男』を読み、
菊池さんという常人離れした人物の思考をたどってみてくださいね!



▼菊池良氏の処女作『世界一即戦力な男』
 好評発売中!

 まもなく発売!







1位目指してがんばってます!
ポチっと応援お願いいたします!








ブレイン・ジャック