こんにちは。
フォレスト出版の長倉です。


昨日に引き続き、
2006年度ビジネス書年間ランキング2位を獲得した
『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?』の著者
小堺桂悦郎先生のインタビューをお送りします。

2回目の今日は、

『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?』が出るまでに
出した4冊の本についてお話いただきました。

それぞれの本が出るまでに
様々な苦難があったようです。

それでは、本日も最後までぜひお付き合いください。


▼前回の記事はコチラ
http://forestpub.com/archives/52027327.html


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長倉:
独立してから本を出しましたよね。
『借りる技術 返す技術』が出たのは、
2002年のたぶん年末ぐらいだと思うんですけど。



『借りる技術返す技術』小堺桂悦郎・著


小堺さん:
今でも、話が来たときのことを覚えているよ。
2002年の8月1日か2日だったね。

「ファックスレターやニュースレターを
 書いてたんですか?」

と、長倉さんに聞かれたけど、
俺はフォレスト出版に送ってたんだから(笑)。


長倉:
ちょうど私がフォレスト出版に入ったときですね。
僕が入社したのが2002年の2月なんですよ。



小堺さん:
うん。そのころ
第1回フォレスト大賞っていうのがあったんだよね。
忘れもしない2001年の10月末が
企画の締め切りで、発表が2002年の2月。
当然俺も応募したんだけど、企画はボロボロ。
企画はピンク本を自分の分野に
無理やり真似したようなものでした、
キャッチコピー付けてね。
ほら、独立しようかどうかって心は
右に左に揺れているんだから。

2001年の4月くらいからニュースレターを
10ページぐらいずつ送っていました。
税理事務所に在席しながら。
ずっと毎月書いてたから、送り続けてた。
それでも当然、第1回フォレスト大賞はかすりもしない。
そのときの1等賞は野元泰秀さんだからね。


『あなたの会社を潰さない最後の戦略』野元泰秀・著


長倉:
そうですよね。そうそう。



小堺さん: 
彼の企画書は見事だったよね、
この間の震災後、事務所を整理していたら
彼の企画書が出てきたんです。
「あー、やっぱあいつすげえな」と思いましたよ。

話を戻すと、その後も送り続けていて、
そしたら、当時フォレスト出版には
事務系の真面目なラインナップがあって、
その中で、銀行の資金繰りが厳しくなって、
ちょうど銀行が倒産し始めたころだから。
それまで銀行が倒産なんてなかったんだから。


長倉:
ビックリしましたよね。



小堺さん:
銀行って倒産するのかと。
今の不況なんかと比べものにならないよね。


長倉:
すごい衝撃でしたね。



小堺桂悦郎氏インタビュー


小堺さん: 
だから「銀行本をやろう」と。今やばいぞって。
誰か著者はいないかって探したと思うけれど、
いるはずがない。だって当時、税理士が
書けるわけがないんだから、どんな税理士だって。

そんなとき誰かが、
「あの神田さんのところで誰かいたぞ」と。
送りつけてるやついたぞと。
俺の名前は知られてないから、
探しだして俺を見つけたらしくて。
独立してることも気付かれてなくて、
前の事務所に電話したみたいですね。


長倉:
小堺さんと初めてやった
この『借りる技術 返す技術』が、
自分で企画した初めての本なんです。



小堺さん:
8月の1日か2日に電話もらって、
で「締め切り9月末で」っていうの。速えよ(笑)。


本って何カ月もかけて、
ああでもないこうでもないって書くじゃないの? 
って感じだったから度肝抜かれたよね。


長倉:
あの本は、9月末厳守でしたから(笑)。


小堺さん:
こっちはね、デビュー作なのにさ。
ちょっと描ける漫画家なんかが
自分が描きたいって言ったのを、ペッとされて、
じゃあこれ描けって言われたら、
もうイエスもノーも、うんもすんもないからね。
「あっ、わかりました!」って言って書く。
そんな感じだったよね。

まあ書くしかないと思って書いたよ。
このおかげで速く書く癖がついたよ(笑)


長倉:
企画がまあ明確でしたからね。
イメージ通りいけました。



小堺さん:
まあ奇をてらってたような本ではなかったからね。
だから言われたよ、くれぐれも、神田先生を
真似したようなものは書かないようにって。

あと、締め切り間際の
9月の14、15日、忘れもしないよ。神田先生に
「永ちゃんのコンサートに連れてってくれ」と言われて、
14、15だよ。
9月中に原稿上げなくちゃいけないのにさ。
8月22日にゴーサインの話もらってさ、
9月の14、15、東京スタジアム、
調布で永ちゃんのコンサートで泊まりがけで。
締め切り間際に2日つぶれるわけじゃない。
大変だったな。

とにかく、ほんとうにオーソドックスな本でした。
実用書をよく出している出版社が出すような本。
初版6000冊刷って、あとは終りになるような。


長倉:
10年前ですものね。
私の編集者としての歴史は、小堺さんと始まりました。
僕は、あの本やったことは大きくて、
それは衝撃でしたね。「金を借りるための技」という
自分が知らない世界だった。

それまで「会社は儲ければいい」ということが
大切なんだと思っていて、
それがビジネスの前提と思っていました。
でも小堺さんは違うと。
「会社は生き延びることが重要だ」、と。


小堺さん:
だってみんな儲けようとして失敗してるでしょ。


長倉:
そう、だから生き延びる。
つぶれることは簡単で、つぶれたら
けっこう路頭に迷うやつがいる。
でもどんな形であれ生き延びていれば、
みんなどうにかして食べていけたり、
それなりにいい生活している人も
いたりするんだと学びました。



小堺さん:
みんなさ、儲けようとして失敗してるんだよね。
誰も最初から、

「俺は絶対損してやるぞ」
「見てろ、俺は赤字出してやるぞ」

と思ってやっていないんですよね。

だから会社がある程度うまくいっていない人は
一定の借金ができないんだよね。

たとえば、

「開業して3年。3期連続赤字です。
なんとか無借金でやってきて、
自己資金でずっとやってきたんですけど、
もうどうしようもないんです、どうしたらいいでしょうか?」

と言われても、私は相談に乗れないんですよ。
借りてないんだもん。
3期連続、創業3期連続赤字じゃさあ。


小堺桂悦郎氏インタビュー_2


長倉:
借りれないですね。



小堺さん:
どんな立派な計画書を持っていったって
ダメ、というレベルです。


長倉:
衝撃的だったのは、小堺さんが
「自己資金全部使わないで借りとけ」
と言ったことです。
「自己資金だけの、無借金がいい」
と言われるけど、本当に自己資金だけでやって、
ずっと赤字だったら、今みたいな話で
お金を借りられない。ずっと借りられないから、
にっちもさっちもいかなくなる。
そのあたりのことを伝わらない、
伝えたいなと思っていました。

話を本に戻しますが、地味に売れていきましたね。


小堺さん:
3カ月おきに増刷がずっとかかりましたね。
3ヶ月ごとに2000部ずつ増刷。
トータルで、2万2、3000部までいったんだよね。


長倉:
1500部ぐらいもありましたよね。



小堺さん:
あった、あった。えらい刻んできたね(笑)。
「えっ、こんなに出版社って刻むんだ」と思ったから。
全国に書店どれほどあるんだかわかんないけど、
行き渡らないんじゃないのかって。
でも増刷かかるって、
うわっ、すごいんだなと思ってね。


長倉:
そんなころに『借金バンザイ!』という
次の本の企画を小堺さんから頂いたんですよね。



小堺さん:
こんな寒い時期だったよね。
それもやっぱり2003年。

いやね、『借りる技術返す技術』は出しましたが、
最初から全国またにかけて仕事しようなんて
思ってなかったんですね。
だから仙台だけで、まあ地味にやっていかなくちゃ
いけないなと思ってたんだけど、本ってすごいですよね。
本を読んだ全国の人からね、
当時まだホームページもない時代ですよ。
ブログはおろか。それをみんな、
フォレスト出版に電話してきたんですよね。
「相談に乗ってください」と。

「相談に乗ってください、っていったって、
あなたどうするの、俺仙台だよ、あなた福岡でしょ」
という話で、お互い行き来する金もないわけです。
金もなければ貸す金もない。暇もない。
そしたら、電話とファックスをフルに使って
頑張ろうねって、それしかない。
それで始まったんです。

『借金バンザイ!』ができるまでを順に説明すると、
まず半分やけくその企画書出したのね。
なぜ出したかっていうと、
本は買ったんだけど、
その通りにやらないやつばっかりなんだよ。

俺もさ、びっくりしたよね。
そういうしっちゃかめっちゃかな経営者が
地元仙台にいることは知ってたれけど、
実は全国そんなもんなんだと。

ちょっとしゃべる言葉が少し違うぐらいでさ、
実は悩んでることなんてみんな一緒だった。
だから、いくらこういうマーケティングのシステムがある、
ノウハウはある、新しい何とかがあるよ
といっても、本人たちが使えてない。

大変な状況の人に、銀行の技術はこうですよ、
ああですよって言っても使えるわけがないんだよね、
使いこなせるわけがない。

で、だから企画を出したのはいいんだけど、
もらったほうは困っただろうね。
最初からこのタイトルで送ったからね。


長倉: 
タイトルは、タイトル会議で
猛反対されて小堺さんに電話したのは覚えています。



小堺さん:
自分の書きたいことがうまく伝わらないかなと思って、
もし来てくれるんだったら仙台に来てほしいと。
ぜひ、モデルの人たちに会ってもらいたかった。

それで、どこに泊まってもらおうかなと思ったら、
本のモデルになっている1つの温泉旅館に
泊めてもらって、そっからなんだよね。

話また飛ぶけど、そのとき気づいたのが
みんなベンツに乗ってるわけさ、
俺は、乗ってても不思議と思ってなかったんだけど。

若いころは不思議でしょうがなかったけれど、
別に借金して乗れば、金借りられれば
乗れるだろうと思ってましたし。
別に儲かってるから乗れるっていう話じゃないと。

そうしたら長倉さんが

「小堺さん、なんでみんな
 ベンツに乗ってるんですか?」
「別にベンツであろうがBMだろうがいいんです、
 みんな大変なんです。
 大変だけど、それがなにか?」

私はそんな感じです。

それが
「なぜ、社長のベンツは4ドアなのか」のきっかけです。
そのときに温泉旅館に行き、
あっちにもベンツ、こっちにもベンツ、なんでですか?
ほんとうにそんな話をしてたの。


長倉:
その前にこの
『借金バンザイ!』もけっこう売れたんですよね。



『借金バンザイ!』小堺桂悦郎・著


売れたといっても、
今から言えばそこまでかもしれないけれど、
でも3万部弱はいってると思うし、
この後、バンザイシリーズをやろうということで
出たのが『粉飾バンザイ!』でしたね。


『粉飾バンザイ!』小堺桂悦郎・著


小堺さん:
もう勝負してましたよね。
今だから言えるけど、バンザイ3部作を
ずっと考えてました。なぜかというと、
会計と税金と資金繰りって、3つでセットなんです。
英語でいうと、
アカンウティング、タックス、ファイナンス。
格好いいじゃん。

伝票を昔の簿記でいうと、
赤伝票、青伝票って言ってました。
入金が赤で、出金が青。銀行の用紙も、
今はみんなキャッシュディスペンサーでやるし、
ネットでやる人が多いけど、窓口に行くと、
入金伝票は赤なんですね。
若い人は知らないだろうけど、
色も意味があって、赤と青を足すと紫になるでしょう。
だから、『借金バンザイ!』のカバーは紫にしたんです。


長倉:
なるほど。そこまで考えていたんですね。



小堺さん:
そうそう、ほんとうだよ。こじつけじゃないから(笑)。
神田先生はピンクだし、小阪先生は黄色で。
そしたら、
「じゃあ小堺さんは何色の本を出すんですか?」
と、みんな冷やかすわけだ、後輩とかが。

「俺は紫かな」

自分でタイトルも言い張った、
言い張ってその通りに通った本は、
後にも先にもこのバンザイシリーズだけです。

だからこれが、売れなかったら次がない。
今日の俺はなかった。


長倉:
この本の僕の中の衝撃は、文体も含めて、
こんなんでいいんだって思いました(笑)
僕は世の中的に怒られるかなと思ったんです。
だから、原稿も社内でもほとんど見せていなかったし。


小堺さん:
いやー、某ネット書店の批評じゃ、
けちょんけちょんだよね(笑)。


長倉:
でも、『粉飾バンザイ!』は
ある程度売れたということで、
僕の中でものすごい自信になった。
もうチャレンジだったけど。



小堺さん: 
もうやけくそのピークだね。


長倉:
『粉飾バンザイ!』で今でも覚えてるのは、
広告を日経新聞に出したことです。
タイトルがタイトルだから、けっこう大変だった。

日経新聞の広告の審査に引っかかって、
「※これは粉飾を勧める本ではありません」
と注意書きが必要と言われたり。
広告が出たら出たで次は、
「なんだこの本は」とクレームの嵐。



小堺さん:
長倉さんは今でもかなり現役なんだろうけど、
当時はまた違うイケイケだった。
今はある程度の実績や経験があっての攻めを
してるんだろうけど、当時は経験も実績もなかった。

私の本をやる前に岡本史郎先生の緑本
『会社にお金が残らない本当の理由』
がいきなりバーンと売れたわけだよ。
3万くらいかな。3万でパーティーしてたよね。


『会社にお金が残らない本当の理由』岡本吏郎・著


長倉:
そうでしたね(笑)。



小堺さん:
とにかく当時からガンガン攻めていたから。
でほら、煽るわけよ。緑本でたぞみたいな。
小堺さんはどうしますって煽られたね(笑)

長倉:
『粉飾バンザイ』が
『借金バンザイ』よりも売れたんですよね。
それが僕の中で自信になって、
だいたい2、3作目は売れないと言われるんですが、
でも超えられる。
狙えば超えられるんだってすごく自信になりました。



小堺さん:
「そこまで当たらないだろうな」
と思ったのが当たった。
すると今度はびびっちゃって。
書いた本人もびびったし、
出版社としても、次は脱税の話だったから。


長倉:
次の3作目のタイトルを
『脱税バンザイ!』でいこうと思ったんですよね。
ちょうど当時『脱税のススメ』という本が出ていました。
売れていたけど、書店に
クレームが来ると問題になっていたんです。
「脱税を勧める本なのか」って。


小堺さん:
やっぱりね、納税は国民の義務だから。
憲法に反するわけだからね。
『粉飾バンザイ!』はまだいいとして。
一般消費者の人には、
一般の読者に迷惑かかんないじゃない。
本人とあとは銀行の問題、債権者の問題だから、
それはお互いさまの話だから。

でも、『脱税バンザイ!』はちょっとね、
憲法違反だしさ。間接的には一般の方も。
「なんだおまえらは」っていう話になるわけだから、
公序良俗に反する。
広告を出稿できないという話があり、
そこでちょっとアクセルを緩めました。


長倉: 
それで『税金バンザイ!』に変えたんですね。



『税金バンザイ!』小堺桂悦郎・著


ただ今思うとやっぱり突っ込んどいても
よかったかなと思ってます。
脱税の本を出してたら行く末は…と
編集者としてたぶん引いてしまった。



小堺さん:
いや、俺も引いてしまったよ。


長倉:
『粉飾バンザイ!』のときにDVD作りましたよね。
それがうちのDVD商品の最初の商品です。



小堺さん:
元々俺もあんまり講演とか
セミナーって得意なほうじゃないんだけど、
軽い感じでできるだけいこうかなと思ったらさ、
みんなシーンとしてるのよ。


長倉:
お客さん引いたんですよね。



小堺さん:
お客さんそんなに来ないだろうなと思ってたら、
結構来たんだよね。
満席なっちゃって、ぎちぎち。
あと30分で始まろうかっていうときに、
急きょ、広い部屋に移って、
その部屋がさ、また結婚式でもやるような
広い場所を借り直して、
そこにポツンと一人で講演でしょう。


長倉:
そうでしたね。僕らもセミナーの運営とか
全然わかってなかったですし。



小堺さん:
『粉飾バンザイ!』の話を聞きに来てるぐらいだから、
みんな心苦しいわけですよね。
隣同士で誰も挨拶しないし、
俺にすら名刺交換もしないんだから。
いたたまれない講演だったね。


長倉:
ほんとうに実験的なのに
毎回巻き込んでましたね、今思うと。



小堺さん:
フォレスト出版も
そのころセミナーの運営をやり始めでしたね。
それなのにほらもうちょっとソフトな
内容のセミナーをやればいいのに、
いきなり粉飾セミナーって(笑)。


長倉:
でも、ここからいけたのが
よかったと僕は思っていたんですよね。
この数年後は自己啓発系のセミナーが
メインになりましたけど、僕はやっぱり
ビジネス書の作りっていうのは、
やっぱりここから基礎を学んでいたっていうのが
大きいかなと思っています。それで崩していくという。



小堺さん:
いやー、俺だけじゃなくて、岡本先生の本も
やっているから相当大変だと思うよ。
まあこう言っちゃなんだけど、
他の出版社の人たちだとさ、
税金のこととか意外とわからないんだよね。
「あっ、わかんねえんだ」と思ってびっくりした。
でも考えてみたら、わかるわけがない。

別にわかるから出版社に入ったわけじゃないし、
まして好き好んで、税金とか
そんな本の担当をするわけがない。
そんな人なら、そういう業界に行ってるわけだから。


(最終回に続く)


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